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学術発表・講演

日本ペインクリニック学会第57回学術集会に参加して

2023年7月13〜15日、佐賀市で開催された日本ペインクリニック学会第57回学術集会に出席・発表してきたので報告します。


【発表】
「持続頚部硬膜外ブロックと頚椎前方固定術により寛解した外傷性頚部症候群の一例」
約9年間多数の施設で、外傷性頚部症候群に対して加療を行ってきたが、症状は不変であった。当科受診し、過去の治療歴になかった持続頚部硬膜外ブロックを施行したところ、症状は短期的に寛解した。整形外科で再検討した結果、頚椎前方固定術の適応があるとのことで手術を施行、長期的な寛解を得た。

質問:硬膜外ブロックをすることで整形外科の後押しをしたということでしょうか?
回答:その通りです。
質問:前方固定術の成績はどうですか?
回答:非常にいいです。硬膜外ブロックをする機会が激減しました。


【教育講演】
「ペインクリニックにおける超音波ガイド下インターベンション」
星状神経節ブロック(SGB)は、上肢や頭頚部の痛みを中心に多くの症状に対して行われているが、近年別の目的でも行われている。

・心室性不整脈の予防 
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)の緩和
・消化管手術後のおならの開始時間、食事再開時間が有意に短縮する
・くも膜下出血に対する脳動脈瘤クリッピング術後の脳血管攣縮の発生予防

 

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男





日本麻酔科学会第70回学術集会(2023年6月1日から3日、於神戸市)に参加して

日本麻酔科学会第70回学術集会(2023年6月1日から3日、於神戸市)に出席・発表をしました。

【発表】
「術後悪心嘔吐に対するグラニセトロンの予防効果」
術後悪心嘔吐(PONV)の危険因子である女性・非喫煙・PONVの既往もしくは動揺病・麻薬の使用の4因子を有する患者に対し、手術終了直前から時にグラニセトロンを静注し、術後24時間のPONVの発生を調査した。14名中2名(14.3%)に発生した。文献による発生予測率は28.8%であるが、それ以上の効果を認めた。また左右以外は同じ術式の4名に対しても1名にしか発生しなかった(number needed to treat=1.33)。このことより、PONV高危険患者に対するグラニセトロンの予防効果は高いと考えられた。

【質疑応答】
質問:亜酸化窒素は今までも使用されてきたのか?
回答:麻酔科医になった当初からしばらくは使用していたが、使用しなくなった。しかし2015年現在の病院で勤務してから、再度使用するようになった。

質問:グラニセトロンがPONVに対し、救世主的な存在とまでは言えないと思うが・・
回答:今回の発表からは言えない。しかし、PONV高危険患者に対してはグラニセトロンも含めていろいろな方法を加えて予防すべきだと思う。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男





日本臨床麻酔学会 第42回大会(令和4年11月11―12日、於京都市)に出席・発表してきました。

発表「整形外科病院における輸血拒否22症例と輸血施行12症例の検討」
 当院では基本的に輸血拒否患者の手術を受け入れている。2018年1月から2年間に22例の輸血拒否患者の全身麻酔下手術が施行されたが、全て無輸血であった。また当院では2015年1月から5年間に7153例の手術が施行され、12例(0.17%)に輸血が施行されている。輸血施行症例は、多椎間脊椎固定が最も多く、術中・後の平均出血量は、約1200mlであった。また、感染や胃潰瘍による吐血も含まれていた。ハイブリッド開催であったが、発表は現地参加のみであった。感染対策に留意し、有意義な学会であった。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男





第43回日本循環制御医学会総会・学術集会(5月27日・28日 長崎市)に参加して

 日本循環制御医学会は麻酔科医、循環器内科医、心臓血管外科医、生理学、薬理学の研究者が横断的に「循環」をキーワードにさまざまな視点から発表を行うため、自分にとって大変勉強になる学会です。今回は一般演題「集中治療」のセッションを担当させて頂きました。多くの学会でしばらくの間、オンラインのみの開催が多かったのですが、今回久しぶりに会場での討論も可能になり、臨場感あふれるセッションとなりました。

手術部長 畠山 登

 




日本ペインクリニッ学会第55回大会に参加して

 日本ペインクリニック学会第55回学術集会(7月22〜24日、於:富山国際会議場)ANA クラウンプラザホテル富山、富山市民プラザ)に出席・発表しましたので、報告します。
 コロナ禍、医療従事者のワクチン接種が普及したため、現地開催・LIVE 配信・オンデマンド配信による開催となりました。


【演題】
「他院にて線維筋痛症加療中、頚椎後縦靱帯骨化症が判明した一例」
 他院にて線維筋痛症加療中、ほぼ寝たきり生活であったため、当院への受診を希望され椎精査を施行したところ、縦靱帯骨化症が判明。手術療法を選択肢、術後経過は良好で退院後仕事も復帰することができた。事前に音声付きスライドを提出し、webでの視聴となっている。質問は現時点では来ていない。

【麻酔科講習】
「帯状疱疹後神経痛の病態とエビデンスに基づいた治療法」
 帯状疱疹後神経痛(PHN)への移行を防ぐための神経ブロック療法を行う際は、徹底的な無痛が必要である。間欠的な中途半端な神経ブロックは推奨されない。PHNの治療は内服であり、プレがバリンやミロガバリンが推奨される。三環系抗うつ薬も第一選択である。麻薬は推奨されない。その他の麻酔科講習「X線透視下で行う腰部硬膜外ブロック・神経根ブロック」「神経障害性疼痛治療の現状」「筋・筋膜性疼痛の特徴とメカニズム」を聴講した。

【教育講演】
「肩の痛みに対する超音波解剖学 結帯運動」
 結帯運動(臨床において、背中に手を回した状態から脊柱に沿って手を挙上させる動作)時の肩の痛みに対する戦略について、以下は抄録より抜粋。結帯運動時における肩甲上腕関節(伸展・内旋・内転)の主動作筋は大胸筋と肩甲下筋と大円筋と広背筋と上腕三頭筋長頭と三角筋前後部線維であり、拮抗筋は棘上筋・棘下 筋(肩甲上神経)、上腕二頭筋・烏口腕筋(筋皮神経)、三角筋・小円筋(腋窩神経)である。結帯運動時における肩甲胸郭関節(下方回旋・外転・前傾)の主動作筋は肩甲挙筋と菱形筋 と小胸筋と上腕二頭筋短頭と烏口腕筋と三角筋中部線維と広背筋であり、拮抗筋は僧帽筋 (副神経・頚神経叢)である

【専門医講習】
「倫理」
倫理とは道徳の科学である。
「安全」
 ペインクリニックにおける内服、神経ブロックの有害事象について報告された。硬膜外ブロックによる有害事象が多い。また肋間神経ブロックによる気胸の発生も多い。エコーガイド下での施行が増えているがエコーガイド下であっても決して安全というわけではない。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男





令和元年度 日本臨床整形外科学会病院部会研修会 令和2年2月23日(日) 於:品川プリンスホテル

特別講演「整形外科病院の高齢者の周術期管理」

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

 令和元年度JCOA研修会(令和二年2月23日、於東京都)にて「整形外科病院の高齢者の周術期管理」について講演を行いました。
 講演内容は、当院の概要、術前合併症として「高血圧」「糖尿病」「心疾患」、術後合併症として「痛み」「悪心嘔吐」「せん妄」「静脈血栓症」「低酸素血症」「体温異常(低体温・悪性高熱症)」に関し、年齢とも関与させて行いました。
講演後、心臓疾患(弁膜症や心不全)、高齢者への手術適応、頚部手術後の出血、抗凝固薬の使用などについて質問があり、以下のように回答しました。
 ⅰ 肺高血圧を伴う弁膜症は術後呼吸管理に難渋する
 ⅱ 心臓の収縮力の低下(駆出率50%未満)では麻酔を行わない施設もあるが、当院ではPDEⅢ阻害薬の
   使用などによって駆出率30%代でも安全に行なっている
 ⅲ 年齢だけでは手術適応の可否にはならない
 ⅳ 頚部手術後の出血は当院では経験がないが、生じた場合上気道から顔面の浮腫が生じ気道確保が困難になる
 ⅴ 抗凝固薬・血栓薬、特にバイアスピリン使用下で手術を行うこともある

 

 

パネルディスカッション「整形外科病院における高齢者医療」
演題「当院における転倒転落防止への取り組み」

医療安全管理者 多地美智子

 令和2年2月23日(日)、東京品川プリンスホテルで日本臨床整形外科学会(JCOA)研修会が開催されました。パネルディスカッションでは『整形外科病院における高齢者医療』というテーマにおいて当院での転倒転落防止の取り組みについて発表しました。
 当院では医療安全推進部会の中の転倒転落対策部門が中心となり、医療安全管理者とともに活動を行っています。高齢者医療の中でADLは拡大され、転倒転落リスクは『0』にはなりません。患者さんの活動量を減らさず、もし、転倒しても重症化させない、事故にならないよう転倒リスクを予測できる感性を共有出来るよう多職種間の連携向上が重要だと思います。今後も職員全体で患者のリスクを減らすよう転倒転落防止対策の活動を継続していきたいと思います。今回、医療安全管理者の立場でパネリストとして参加し、貴重な研修会となりました。

 


日本臨床麻酔学会 第39回大会に参加して

 令和元年11月7日から、軽井沢町で行われた「日本臨床麻酔学会 第39回大会」に出席・発表しましたので、報告します。

【演題】
「胸椎黄色靭帯骨化症に対し、硬膜外ブロックを施行した3症例」
当院では、胸椎黄色靭帯骨化症に対し、積極的に手術を施行しているが、画像所見と臨床所見の乖離(痛みが強い)が認められた場合、持続硬膜外ブロックによる治療を施行している。今回、3症例に対し、硬膜外ブロックを施行し、2症例は長期的な鎮痛効果を示した。1症例はブロック中も効果は不安定であったが、ボーラス投与により症状が一時的に消失した為、手術を施行したが術後も症状は不安定であった。胸椎黄色靭帯骨化症の治療は、まず、安静・鎮痛薬、痛みが強い場合は硬膜外ブロック、神経症状が強い場合は手術となるが、ブロックと手術の適応判断が困難な場合がある。

【質疑応答】
 ①硬膜外の治療期間が大体1週間である根拠は?
 →急性期病院としての入院期間の制限もあるが、今までの経験から1週間前後としている。
  効果があった2症例はブロック開始直後より鎮痛効果を示し、終了後も長期間、効果を認めている。
 ②硬膜外腔が狭く、硬膜外チューブの挿入困難が予想されるが?
 →幸い、3症例ともスムーズに挿入ができた。
 ③ブロック開始前の治療は?
 →通常の鎮痛薬投与が整形外科で行われ、その効果が少ない場合に麻酔科にコンサルトがある。
 ④ブロック終了後のフォローは?
 →効果を認めた2症例は特に介入はない。効果が不安定で手術を施行した症例は、麻酔科でフォローしている。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

富山県女性薬剤師会学術講演会

 2019年9月1日(日)、富山電気ビルにおいて富山県女性薬剤師会学術講演会が開催され、特別講演「神経障害性疼痛の治療について」を行いました。
 会長の渡辺悦子先生より、「痛みの話は今まで経験したことがないので、楽しみにしています」と講演前に言われました。「痛み」の話は、実は我々痛みを専門にしているものにとっても、時に難解、またそのためか眠気を催すのですが、皆様には熱心に聞いていただきました。さらに講演後は薬剤師ならではの質問もあり、小生も勉強になりました。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

日本ペインクリニック学会第53回大会に参加して

 2019年7月18〜20日、熊本市で開催された「日本ペインクリニック学会第53回大会」に出席・発表してきました。

【演題】
「CRPSⅠを呈した変形性肩関節症に対し、持続頚部硬膜外ブロックによる加療後鏡視下肩手術を行った一例」
手術適応のある肩疾患であったが、初診時よりCRPS I (complex regional pain syndrome: 複合性局所疼痛症候群)(明らかな神経損傷がないタイプ)を呈していた。CRPS下で手術を施行すると術後増悪の可能性があり、手術が回避され、先ずはCRPSの治療を行うことになった。持続頚部硬膜外ブロックおよびリハビリテーションにより約8日後、ほぼ完治したため手術を施行し、術後順調な経過をとった。

【質疑応答】
①受診時、肩は動かすことはできなかったのか?硬膜外ブロックを行った直後から、稼動できたのか?
→受診時は痛みのため、肩および上肢も可動できなかったが、ブロック直後から可動でき、翌日からリハビリテーションをすることができた。
②術後もリハビリテーションを継続したのか?
→術後も行なった。
③症状は突然生じたのか?腱板は切れていたのか?
→突然生じた。修復はされなかった。

【専門医共通講習】「安全」 
2018年度の有害事象報告から学ぶことー日本ペインクリニック学会安全委員会・調査報告—
ブロックやインターベンションによる有害事象の報告であるが、肋間神経ブロックやトリガーポイント注射などで気胸の発生は、継続している。またブロックの左右間違えなども生じている。
ブロックによる合併症のためかどうかは不明だが、「最近ブロックをしない、あるいはできない専門医がいるが、これは学会としてどう捉えるのか?」という興味深い質問をした先生がいた。このセッションは安全委員会によるものなので、ここでは回答できないとのことだが、専門医を更新する際にはブロック施行の有無は含まれていない、しかし今後学会として、考えなければならないとの返答であった。

その他、術後遷延痛のセッションなどにも参加しましたが、漠然とNSAIDs、アセトアミノフェン、ペンタゾシンなどの投与を継続するよりも、早期に硬膜外ブロックなどを介入する重要性を改めて感じました。
非常に有用な学会参加でした。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

日本麻酔科学会第66回学術集会に参加して

 2019年5月30日~6月1日まで神戸市で開催された日本麻酔科学会第66回学術集会に出席・発表を行ってきたので報告します。

【発表】
「術後、酸素飽和度の低下に及ぼす因子の検討」
要約:腰部脊柱管狭窄症に対し腰椎椎弓切除術を施行した61名を対象に、術後酸素飽和度が低下した症例が32.8%あり、高齢、肥満(BMI)と術後フェンタニルの投与量が危険因子であった。
• 術後のフェンタニルは30μ/hrを超えないほうがいいのですね→今回の検討後から30μ/hrを超えないように注意している。
• 手術は固定術ではないのですね→椎弓切除術を対象として、固定術は対象外です。
• 手術時間は→ここに示すように大体45分くらいです。

【その他聴講したもの】
• 臨床研究上の倫理:日本では共同著者・演者が多く、本当にその研究と関与しているのか、外国から疑問視されている。本邦でも共同著者・演者の定義が、考えられているが、まだ曖昧な部分もある。例えば統計処理のみを行った共同者は、統計処理の難易度にもよる。
• 生体ガスと臓器保護:NO(一酸化窒素)、H2S(硫化水素)とCO(一酸化炭素)に関するもの。NO以外は毒ガスとして知られているが、濃度によっては、臓器保護作用がある。抗炎症作用、抗アポトーシス作用など。臨床研究となるのは20~30年後かと。
• 大災害時の手術室危機管理:2011年3月11日、福島県立医科大学の手術中の様子が映し出される。北陸では災害が少ないため、どうしても危機感が薄れてしまう。しかしアクションカードの整備も含めて、準備はしyておかなければならない。
• 悪性高熱症:術前診察・検査で見つけることは非常に困難である。また発症時期がバラバラであり、吸入麻酔薬暴露直後の時もあれば、術後の場合もある。また前回全身麻酔で発症しなかったからといって、今回発症しないわけではない。術前診察で、麻酔歴・全身麻酔の家族歴を聞かず、悪性高熱が発症すると訴訟に負ける。ダントロレンは発症を疑ったら、すぐに投与の準備に入る。ダントロレン20mgは蒸留水60mlで溶かすが、時間がかかる(蒸留水も手元にない)。初期投与量は大体60mgのため、180mlの蒸留水が必要。15分で滴下。
• 故障・不具合情報から見た麻酔器の安全性:2008 年から麻酔器の故障・不具合情報の収集が始まり、今回その報告があった。一般に麻酔器の寿命は7年と言われるが、そう簡単に取り替えられるわけではない。

多くのことを学ぶことができ、非常に有意義な学会参加でした。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

第31回日本肘関節学会に参加して

 2月8日(金)・9日(土)、北海道小樽市にて大寒波襲来の中、第31回日本肘関節学会が開催されました。私は、「International Symposium Elbow Arthroscopy」の選考シンポジストとして多くの高名な外国の医師とともに発表とディスカッションをさせて頂く機会を頂きました。英語でのプレゼンは実に15年ぶりであり今回はさらにビデオ発表、討議も英語であったため、ここ数か月いろいろ準備してきました。ご協力ご指導頂きました富山大学整形外科医局の先生方、また色々ご高配頂きました当院スタッフの皆さんにお礼申し上げます。
 私の発表は、肘の離断性骨軟骨炎に対する関節鏡視下の骨軟骨移植術の手技標準化と短期成績に関わるものでした。シンポジウム後も多くの方からご質問を頂きたくさんの反響があったことは大変うれしい限りです。今後ともスポーツ選手の低侵襲・早期復帰手術の改良と啓発に力を注いでいきたいと考えています。
 学会では寒い天候にも関わらず内外から多くの専門医が参集し活発な討議が行われていました。印象深かったのは、北海道大学の岩崎教授が講演された「低侵襲軟骨再生治療法」に関する研究の講演です。軟骨細胞を誘導する生物材料の開発が実用段階手前まで進んでいることに感銘を受けました。10年後には現在とまったく異なる野球肘治療方法が一般化しているかもしれません。小樽は日中の最高気温がマイナス12度という極寒の状況でしたが歴史ある風光明媚な街並みは素晴らしいものでした。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 
     
   

日本臨床麻酔学会 第38回大会に参加して

 平成30年11月1日から3日まで、北九州市において開催された「日本臨床麻酔学会 第38回大会」に出席、発表を行ってきたので報告します。

演題「硬膜外自己血パッチ3症例」
 平成28年7月より当院で施行した「硬膜外自己血パッチ3症例」を発表しました。医原性に脳脊髄液減少症を来し、頭痛や吐き気などの症状が保存療法では寛解が得られない場合、硬膜外腔に自己血を注入し、損傷した穴を閉鎖し、脳脊髄液が漏れなくする方法です。自己血注入後の安静時間を焦点に討論が行われました。基本的には5〜6時間の安静で、損傷した穴は閉鎖されるようです。
 ただし、手術などによる損傷では、その程度が不明なため安静時間はより長期にとる必要があると考えられます。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

   

第7回 野球肘研究会に参加して

 全国の野球肘の診療に関わる医療者、プロ・アマ・少年野球の指導者、行政などの方々が参集する「野球肘研究会」が平成30年7月28日に弘前で開催されました。全国から多くの方が集まり、熱い討議が行われました。
 今回、私は「肘OCDに対する保存療法・手術適応判断のポイント」という講演で本会にお招き頂き、過去20年関わって来た野球肘診療で得た「治療方法選択のポイント」について発表させて頂き、質疑応答も受けました。今回の開催会長である前田周吾先生は自らも甲子園に出場している筋金入りの野球選手兼整形外科医であり、非常に多くのテーマを組んでいただき、とても勉強になる大変すばらしい会となりました。元プロ野球オールスター選手で現在は少年野球の指導に関わっている方の講演をはじめ、野球肘の様々な新しい科学的知見を得ることもできましたので、今後の診療で来院される選手にぜひ生かしたいと思います。
 来年は仙台で開催される予定です。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 
     
   

日本ペインクリニック学会第52回大会に参加して

2018年7月19〜21日、日本ペインクリニック学会第52回大会(東京都)に出席・発表してきました。

【発表】
「線維筋痛症患者におけるフェンタニル貼付剤の使用」
 2013年線維筋痛症診療ガイドラインでの麻薬の使用は、自殺をほのめかす程の痛みを訴える患者、一年以上適切な治療を行っているにもかかわらず痛みが強い患者に適応があるとされてきたが、新たに改定された2017年線維筋痛症診療ガイドラインでの麻薬の使用は、「推奨しない」となった。
当院では現在3名の線維筋痛症患者に麻薬である「フェントステープ」を使用している。そこで現在の状況や問題点を含め発表した。
 高用量のフェントステープを使用しているが、最近3 年間は投与量の変化はない。効果はあるがQOLが向上しているとも言えない。しかし依存や嗜癖は認めていない。患者は全て私より20歳くらい若い。そのため私が診療できなくなる未来が不安である。
 ・未来に対する不安を同様に感じている先生もおられた。
 ・線維筋痛症患者を診るため、長生きするようにと励まされた。
 ・薬剤投与は最大量迄増量しているかどうか?→しています。
 ・薬剤治療が基本だが、もしその他の治療(トリガーポイントや筋膜リリース、頭蓋磁気療法など)が薬剤治療の効果を上回れば、そちらを優先すべきである。しかし今の所、ない。
 ペインクリニック学会における「線維筋痛症」をテーマにした演題は外国に比べてあまりにも少ないらしい。しかもペインクリニシャンからの演題があまりにも少ない(鍼灸師からの演題の方が多い)のは、循環器内科医が心筋梗塞の治療ができないことと同じであると、線維筋痛症の第一人者である戸田先生が嘆いておられた。
線維筋痛症のセッションでは聴講者が通常少ないが、今回はかなり多くの先生が参加した。線維筋痛症を診療しているものとして一つの光明である。

【講習会】
「Neuraxial block後の神経学的合併症」
 Neuraxial block(=硬膜外麻酔/脊髄くも膜下麻酔)の合併症についてのレクチャー
 ・当院でも稀に施行している低髄圧症候群に対するブラッドパッチ。硬膜外腔に人為的に血腫を造ることに対する神経学的合併症に関しては対象が、硬膜外腔が狭いであろう高齢者では注意を要するが、若年者では心配がないとのこと

「神経障害性疼痛の基礎と臨床」
 基礎的なことは難解であったが、痛みの受容体のひとつであるTRPV1受容体(カプサイシン受容体)は侵害受容器として皮膚だけに存在している訳でなく、末梢神経そのものにも存在している可能性がある。

学会に参加し、新しい知見も含めて勉強できました。有り難うございました。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

第20回日本医療マネジメント学会に参加して

 平成30年6月8~9日、札幌にて開催された日本医療マネジメント学会に参加してきました。本学会は発足時から評議員を務めており、医療政策・保険制度などいくつかの委員会に所属しています。今回は制度化10年になる医師事務作業補助制度の経験と提言、クリニカルパス業務など演題採用された3つの口演発表を行い、座長も依頼されました。
 少子高齢化社会での医療ニーズの変化とそれに合わせた今後数年の診療報酬や医療制度の方向性について多くの講演や行政からの報告があり、既にそれに向けて病院もどんどん変わっているという印象でした。このことは医師自身もしっかり認識して自分の診療領域を考えないといけないと感じました。
 当院でも既存合併症のない患者さんというのは非常に少なくなっており、手術や看護の質を保つためにどう変化しなければならないか、小さな工夫や対策ではなく目に見える形での抜本的な変革が求められるのかもしれません。
 このような情報収集を定期的に行うことは現場スタッフにとっても大切だと思いました。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 

日本麻酔科学会第65回学術集会に参加して

2018年5月17~19日、日本麻酔科学会第65回学術集会に出席・発表してきました。
 
【発表】
「亜酸化窒素が術中管理及び術後有害事象に及ぼす影響」
神谷和男、佐藤根敏彦、遠山芳子、坂巻緑、伊藤祐輔
50歳以上の女性に対し、腰椎椎弓切除術を施行した72症例を対象に亜酸化窒素(N2O)使用群と非使用群で術中管理と術後有害事象を検討した。使用群は術中フェンタニルの使用量が少ないにも関わらず、術後鎮痛には差がなく、早期の術後悪心嘔吐の発生が有意に少なかった。

【専門医講習】
「麻酔前診察のポイント」
術前内服薬の使用、特に降圧薬ARBと糖尿病薬メトグルコ、について特に勉強になった。またサプリメントの使用にも注意を払う必要がある。
「肺エコー:A of ABCD sonography〜周術期に役立つpoint of care超音波術」
肺エコーはかなり以前より行われていたが、呼吸器内科の一部でのみの手技であった。気胸、胸水、無気肺などの診断にレントゲンを撮る前に推測できる。
「痛みの伝達機構」
痛みの講義は、用語が特に難しいが、本講習でも同様であった。カプサイシン受容体が比重を占めて来ている印象を受けた。
「周術期不整脈への対策」
無症状の不整脈に対しては手術を延期する必要がない。

【会長企画】
「古代エジプト文明と医療」
 ピラミッドで有名な吉村先生の特別講演。ピラミッドは決して王の墓ではない。未だにそのように信じている人が多い。当時のエジプトは一年の半分は洪水のため仕事がなかった。そのため王は民に仕事を与えるためにピラミッドを建設した。これが建設目的の半分であるが、残る半分はまだ不明。吉村先生は王の墓を別の場所で同定することによりピラミッドが王での墓でないことを考えた。ピラミッドの周囲は当時の貴族の墓がある。吉村先生はその下に王の墓がある(木は森の中に隠せ)と推測(確信的)され、2022年に発表する予定だそうだ(2020年にするとオリンピックが霞むからと)。
 エジプトの医療は当時最先端であったため、周辺諸国からも患者が受診し、またエジプトの医者を国に連れて行ったこともあったようだ。エジプトの民は医療費がタダであったが、それ以外からはお金を徴収していた。目の医者、頭の医者、歯の医者、お腹の医者・・と部位別に医者が存在し、医者であれば生活には困らなかった。
 吉村先生(現在75歳)は70歳迄ケガ一つしてこなかったそうだが、それ以降は転倒が多くなり、また前立腺癌の手術をダ・ヴィンチで受けてこられた。歩き方や話し方に年齢以上のものを感じたが、85歳迄は生きると!

 今回学会に参加でき、多くのことを学ぶことができました。ありがとうございました。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

日本臨床麻酔学会第37回大会に参加して

2017年11月3日~5日、日本臨床麻酔学会第37回大会(東京)に出席、発表してきました。

【発表】
「脊椎椎体骨折に対するバルーン後弯矯正術の術後鎮痛と有害事象の検討」
BKP術後鎮痛状況は、5月に日本麻酔科学会で発表した投与量から、是正したが、有意な変化は認められなかった。有害事象として、せん妄が約9%発生した。せん妄の有意な因子は術前の精神疾患の有無であった。現在のところ有効な対策はない。
【質疑応答】
①精神科へのコンサルトは?
→当院は整形外科単科のため、自分らで対処しているが、どうしてもできない場合は総合病院に転院することもあります。
②BKPの術式は?さらに術後の痛みは?
→バルーンで膨らませて、セメントを注入します。創部は小さいのでほとんど痛くないです。術前の痛みは、術後かなり抑えられますが、少し痛む患者さんもいます。
③せん妄の発生率は?
→高いかどうかはわかりません。

【リフレッシャーコース】
「痛みに対する漢方治療とその問題点」
漢方の基礎知識から、主に頭痛、腰痛に対する漢方治療について学びました。
その他、超音波エコーガイド下の神経ブロックや発表を聴取しました。非常に有用でありました。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

日本ペインクリニック学会第51回大会に参加して

2017年7月20〜22日迄、日本ペインクリニック学会第51回大会(岐阜市)に出席・発表してきました。

【発表】「外傷性脊髄損傷後、13年間の痛みが緩和した一例」
13年前に転落によりL1脊髄損傷と両足骨折を来たし、腰背部痛、臀部痛と右下肢のビリビリとした痺れのため、日常生活(ADL)もほぼベッド上であったが、当院にて硬膜外ブロック、トリガーポイント注射およびフェンタニ貼付剤によりリハビリテーションが可能となり、ADLが格段と向上した症例を提示した。

【質疑応答】
①「既往歴に躁鬱病とあるが、内服薬からは統合失調症のような印象を受けるが・・」→躁鬱病は自己申告であり、統合失調症であったかもしれない。ただ、当院受診時は精神状態は落ち着いており、全く問題はなかった。
②「硬膜外ブロック、トリガーポイント注射、フェンタニル貼付剤の中で、最も効果的であったのはどれと思いますか?」
→最も効果的であったのはフェンタニル貼付剤と思うが、それを導入できたのは、硬膜外ブロックが上手くいったためだと思う。

出席
「ペインクリニシャンの日常臨床に役立つ漢方薬」
1) 痛みからみた機能性身体症候群:線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性大腸炎等様々な機能性身体症候群の説明
2) ペインクリニックにおける機能性身体症候群(FSS)への漢方処方:札幌の開業医によるFSS患者に対する漢方処方の紹介
3) 「心の痛み・身の痛み」〜やっかいな痛みに対する漢方薬の役割:トウキシギャクカゴシュウトウまで拝聴。

日本専門医機構の講義
「オピオイド鎮痛薬のup-to-date;乱用・依存・ケミカルコーピング・退薬症状の対策」
ケミカルコーピングについては初見でした。外来でオピオイドを処方しているので非常に有用でした。
「慢性痛患者に対する精神医学的評価と治療介入」

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

日本麻酔科学会第64回学術集会に参加して

2017年6月8日〜10日まで、神戸市で行われた日本麻酔科学会第64回学術集会に、出席・発表を行ってきました。

【発表1】
「脊椎手術術後当日の食事摂取に関する検討」午前中に麻酔を終了した腰椎椎弓切除術(LT)と椎体骨折に対するバルーン後弯矯正術(BKP)を対象に、夕食摂取可否を検討。
【質疑応答】
①午前中に2症例が終了した場合の差は?
 → BKPでは10:30頃終了症例と11:30終了症例があるが、1時間の差は検討していない。
②術前3時間の水分摂取制限は長いのでは?
 → 原則3時間にしているのは、症例によっては麻酔時間が早くなる事があるため、長めにしている。
③麻酔終了後の水分摂取ももっと早くできないか?
 → 基本2時間後からにしている。高齢者が多いため、状態に応じて行っている。

【発表2】
「脊椎椎体骨折に対するバルーン後弯矯正術の術後鎮痛の検討」BKP症例の術後鎮痛状況を検討。
【質疑応答】
①歩行開始は?
 → 翌日バルーンを抜去してからです。
②西能病院ではバルーンは留置せず、安静の縛りも少ないが?
 → 当院では基本術後6時間の安静を行っている。

多くの演題発表や講演がありいくつか紹介します。

【講演】
◎「手術中の地震・火事対応」 森松博史/岡山大学病院
 震度6以上の地震では立っていられないため、手術中に行った場合は、何かに捕まる必要がある。最も動かないのは手術台。麻酔器は、ロックがかかっていても動く可能性がある。地震の場合、火事と違い緊急に避難する必要は少ない場合が多いため、手術は緊急に終える必要はない。ただし、その後の予定手術は延期すべきであり、近隣周辺の病院の状況など情報を得る必要がある。
  火事は、建物火事の話でなく、術野の火事のため当院ではあまり関係がなかった。ただし、ドレープへの引火等は注意が必要。
 当院では火事による火災訓練は行っているが、地震では行っていない。行う必要があるのかもしれない。

◎「オーサーシップについての基本的な考え方」 竹下 啓/青山学院教育人間科学部
 論文等での筆頭著者、共同著者などについての考え方。

◎「華岡青洲に関する最新情報」 松木明知/弘前大学麻酔科
 「麻沸散」による乳癌手術成功が10月13日。この日は「麻酔の日」になっている。今まで、華岡青洲は「通仙散」によって手術が成功し、「麻沸散」は中国三国時代の医聖「華陀」が用いた「麻沸散」を参考にしたと記載されていたが、最新の情報では、「通仙散」は後から名付けられたもので、華岡青洲自身、「麻沸散」の文字を使用している。華岡青洲は「麻沸散」を誰にも教えなかったため、今まで「小さい人間」と評価されていたが、「麻沸散」の乱用を恐れた事、さらに「麻沸散」自身特許のようなものである考えから、「小さい人間」の評価は覆されている。

  11月の当院での月例会の講義のテーマを「華岡青洲と華陀」にしようかと考えています。その他、ポスターセッション等、参加しました。非常に有意義な三日間でした。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

 
     

第46回 日本脊椎脊髄病学会学術集会に参加して

 平成29年4月13日~15日、札幌市で開催された「第46回日本脊椎脊髄病学会学術集会」に参加してきました。
 私は、大学でまとめた「住民健診による腰椎変性側弯の疫学と腰部脊柱管狭窄症との関連」と題して、住民健診をテーマにしたシンポジウムでの発表と、脊柱変形のセッションでの座長を担当しました。また、今回の学会最終日に、腰椎側方アプローチについての研修コースを受講してきました。当院はもちろん、近年各病院でOLIFをはじめとする側方アプローチ手術が増加してきていますが、ご存知のように、狭窄症や脊柱変形に対する優れた術式である一方、手技を誤ると致死的合併症も引き起こしかねず、確かな知識と技術、経験を要する手術です。当院に赴任するまではOLIF手術の経験が全くなかったため、今後、当院で患者さんのニーズに対応できるよう勉強してきました。当然ですが、身が震えるような合併症の講義もあり、改めて基本的な解剖学的知識の重要性を認識させられました。各セッションの発表、講演ともに、大変充実した内容で、また来年に向けてモチベーションを高めるいい機会となりました。
 今回は札幌ということで、学会後のグルメも大変充実しており、同門会の店はもちろん、予約外の飛び込みで入った店もハズレなく、すべて満足できる結果でした。何かとスケジュールが押しており忙しい学会でしたが、すすきののクオリティーの高さに癒されました。来年はくいだおれの街、大阪です。また、学会後のグルメを目標に準備を進めたいと思います。

整形外科部長 田中利弘

第8回 日本MISt(低侵襲脊椎安定化術)研究会に参加して

 平成29年2月26日(日)、東京にて第8回日本MISt研究会の発表を行いました。「多椎間MIS-TLIFとOLIFの比較検討」の演題でしたが、多椎間固定でのMIS-TLIFの有用性を主張できたと思います。研究会は盛況であり、MIStへの関心の高さがうかがえましたが、脊柱変形のセッションが大きく、脊柱変形、LIFのコンセプト、MIStのコンセプトの3つの要素について考えさせられました。

診療部長 澤田利匡




第19回日本低侵襲脊椎外科学会(JASMISS)へ参加して

 平成28年11月24日から25日までの二日間、東京ステーションコンファレンスで第19回JASMISSが開催されました。11月の東京では非常に珍しい雪がちらつく中、学会場は熱い議論が交わされておりました。本学会は如何に低侵襲で安全に脊椎治療を行うかに主眼を置いた学会です。他の診療科の分野でもなるべく患者さんへの侵襲を小さくしようと、内視鏡治療、血管内治療、ロボット治療などが行われ、そのデバイスも小さくなるように開発が進んできております。整形外科分野も例外ではなく、四肢の関節鏡視下手術の発展など、その取り組みは脊椎外科分野にまで及んできております。その脊椎手術の低侵襲化の最前線に取り組んできた学会とあって、未来を見据えた素晴らしい議論が繰り広げられておりました。
 当院からは中野副院長と私が参加して参りました。中野副院長は本学会を牽引してこられたメンバーの一人との事もあり、モーニングセミナーやシンポジウムの座長を務められておりました。私は、「MIS-TLIF(transforaminal lumbar interbody fusion)の有用性を再考する -単椎間固定における検討-」という演題で、当院におけるOLIF(Oblique lateral interbody fusion)とMIS-TLIFの成績を発表させて頂きました。ちょうど前日の教育研修講演においても同様の発表があり、発表内容に他施設の先生からご賛同を頂き、非常に自信になりました。今後も一つ一つの症例を大切に、臨床データを積み重ね、新たなEvidenceを気付いて行きたいと思います。
 弘前大学整形外科医局からは7名の先生方が参加され、初日の夜には中野副院長のご厚意もあり、同門会を開催することが出来ました。
 さて、いよいよ来年20回を迎える本学会の会長は、当院の中野副院長です。平成29年7月27日から28日まで札幌で開催されます。夏の札幌という素晴らしい環境で行われる学会に、当院からも皆で参加して、学会を盛り上げましょう。

医師 浅利 享



日本臨床麻酔学会第36回大会に参加して

 平成28年11月3日〜5日まで高知市(高知市文化プラザかるぽーと、ホテル日航高知旭ロイヤル、ザクラウンパレス新阪急高知、高知県立県民文化ホール)で開催された日本臨床麻酔学会第36回大会に参加してきました。
 今回、以下の2題を発表しました。
「母指CM関節症に対する骨移植を伴う関節固定術術後肺動脈血栓塞栓症の2例」。術後肺動脈血栓塞栓症(PE)の危険因子が高くない症例でもPEが発症する可能性があります。今回迅速な診断と当院で可能な治療を行い、両症例共良好な転帰をとりました。
 「当院における腰椎椎弓切除術術後鎮痛法の検討」。術後鎮痛に対するフェンタニルの持続静注は現在あらゆる施設で、様々な手術の術後に対して行われています。当院の特色として、痛みが増強した時にフェンタニルの注入速度を上げて対応する事です。多くの施設では通常ボーラス投与によって痛み増強に対応しますが、この方法は迅速な鎮痛が得られますが、反面フェンタニルによる有害事象、特に吐き気嘔吐を引き起こします。当院では術後吐き気嘔吐の頻度が報告されているものよりも低い可能性があり、その理由としてフェンタニルの緩徐な投与が考えられます。ただし、鎮痛が得られるまで少し、時間がかかります。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男


第43回 日本肩関節学会に参加して

 平成28年10月21日~22日、広島のリーガロイヤルホテルで開催された第43回日本肩関節学会に参加してきました。過去10年以上連続参加している学会です。
 この学会では、肩関節鏡手術後肺塞栓症の経験と術前後Dダイマー測定の有用性の発表をいたしました。発表は多くの質疑を頂きました。
 同じセッションでは肩関節鏡手術後合併症としての気胸発生の報告もあり当院でも気をつけなければならない事項がありました。
 肩関節学会は年々発展しており、従来の診断方法や治療方法、手術方法の基礎的検討がなされるようになっています。そもそも肩峰下滑液包や関節内への注射治療や撮影法には根拠があるのか?インピンジメントサインで棘上筋断裂があっても挙上できるのはなぜか?興味ある研究がたくさんなされており、朝から夜まで学会で聴講していても飽きることなく時間が過ぎていきました。
 私たちもただ症例をこなすだけではなく、より明快に早期に安全に患者を苦痛から解放する方法についての発表に日頃から耳を立ててく必要があると思います。
 来年は品川で行われますが、医師向けの「日本肩関節学会」、リハビリ療法士向けの「日本肩機能研究会」と同時に、初めての試みとして看護師向けの「肩関節看護研究会」が開催されます。肩疾患患者に対する外来看護、手術看護、入院看護の発表を募集するそうです。患者パスや患者指導のパンフレットの掲示発表も募集されます。当院としても是非発表を行いたいと思います。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一


日本心臓血管麻酔学会第21回学術大会に参加して

 平成28年9月15〜17日横浜市、横浜ベイホテル東急で開催された日本心臓血管麻酔学会第21回学術大会に参加してきました。
 今回の発表は「関節鏡視下肩腱板修復手術後に肺動脈血栓塞栓症を来した3症例」です。症候性肺動脈血栓塞栓症(PE)を2症例、無症候性PEを1症例、文献的考察を加えて報告しました。
 PEはまれに致命的な疾患となりえます。当院ではPEの診断には臨床症状、基本的なバイタルとD-dimer測定くらいしかできませんが、症状によっては専門病院への転院も加え、迅速に対応しています。

麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男


日本クリニカルパス学会・教育セミナーに参加して

 平成28年9月10日、理事を務める日本クリニカルパス学会の教育セミナーの講師として、福島に行ってきました。
 このセミナーは毎年学会で行っているものでクリニカルパスの適切な運用方法、パスを用いた院内の医療質改善の実践方法などを啓発しています。私も17年前の学会発足以来参画しており、これまで務めてきたいずれの病院でも全国のパス活動を牽引するメンバーを育ててきました。今回のセミナーでは、パスのデータを用いることで治療ケアの質の向上、病院内安全の向上、感染対策、サービス向上、コスト削減などを行う実践方法について紹介してきました。パスをきちんと作成、運用すれば、これらは全てパスを分析することで効率的に行えるのです。
 当院にもパスはありますが、まだ真のパス活動には至っていません。長年慣れてきた方法からいつ脱皮することができるかが、これからの医療変革に対応できるかのカギだと思います。急性期医療は施設が絞り込まれるのではなく、ニーズ自体が急激に減ります。今後の数年はクリニカルパスを用いた包括連携体制の早く踏みこむことができるかが試される時期になるでしょう。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 
 


第24回 腰痛学会に参加して

 平成28年9月2日・3日に山梨県甲府市で開催された第24回腰痛学会に「BKP術後新規骨折の骨密度を中心とした検討」の演題にて発表しました。朝一番のセッションで、フロアの人数も少ない中の発表でしたが、質問は多く、その中に自分も疑問に思っていたこともあったため、今後の研究課題として、また発表したいと思いました。

診療部長 澤田利匡

   


日本ペインクリニック学会 第50回大会に参加して

 平成28年7月7日〜9日に横浜市パシフィコ横浜で開催された日本ペインクリニック学会第50回大会に参加してきました。
 今回の発表は、「上肢ジストニアを伴った肩の痛みに対し、フェンタニル貼付剤が有効であった1例」です。肩の痛みの原因が、変形性肩関節症(当院整形外科での内視鏡下手術での所見)か、それとも他院で施行した治療(ボツリヌストキシン注射)による神経障害性疼痛なのか、非常に診断が困難な症例で、フロアーの先生からも明確な回答はいただけませんでした。変形性関節症に対するフェンタニル貼付剤(麻薬)の使用は保健上認められていますが、安易には行えません。しかし漠然とした治療を継続しても患者さんには利益をもたらしません。私の発表のセッションは、慢性痛と麻薬関連でしたが、麻薬使用による副作用も報告されていました。私自身外来で、本症例以外にも慢性痛に対して麻薬を処方していますが、今までのところ大きな副作用は出ていません。
しかし今後、より注意深く診療に臨みたいと考えています。

 麻酔科・痛み緩和診療部長 神谷和男

第29回 日本臨床整形外科学会に参加して

 平成28年7月17・18日に 札幌のロイトン札幌で開催された第29回日本臨床整形外科学会に参加してきました。例年、当院からは4~6題の発表を継続して行っている学会です。
今回は、演題募集時期に当院の改築や引越しなど大きなイベントが重なったため、私一人の参加となりました。札幌の気候は非常にさわやかで蒸し暑い本州とは別世界でした。
 私の発表は、主題「安全対策」の中で行いました。
 昨年秋以降、病棟スタッフとともに検討してきた肩関節鏡手術後の患者さんの血中Dダイマー値の変動から、肺塞栓症を予測し早期治療につなげられるか?についての発表です。
 肺塞栓症は、熊本地震のとき避難生活で動かない生活を余儀なくされた方にみられたことで注目されました。細い血管内に血栓を作りそれが肺などに詰まってしまう病態で骨折や人工関節手術では以前から危険性が指摘され予防薬の投与などが行われているのですが、手や肘、肩といった上肢の手術ではその危険性は低いとされ、ガイドラインでもこれらの手術は「低リスク」と位置付けられていました。しかし近年国内外であらゆる手術でこの「肺塞栓症」の報告がなされるようになり、当院ではすべての手術患者さんにその予防法(ストッキングや術後下肢ポンプマッサージなど)を行っています。今回発表した「Dダイマー」というのはその危険性を血液検査で判定しようとするものですが、その値は手術の影響によって異なり、肩関節手術後での正常範囲はこれまで明らかになっていません。
 今回、肩関節鏡手術後のこの値の正常な推移を初めて明らかにし、実際にその値から外れた方で、症状が全くなくても肺の血管に詰まりを発見できた方がいました。こういった方は詰まりがみるみる大きくなることが多く、早期に発見でき薬を開始したことで何事もなく詰まりが解消できたのは大変心強いことです。多くの病院で参考にして頂ければと思います。

 関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 

第89回 日本整形外科学会学術総会に参加して

 平成28年5月12日~15日、横浜パシフィコで開催された第89回日本整形外科学会学術総会に参加してきました。
 今回はポスターにて野球肘検診に関する発表を行いました。予防介入を行うことで新規の野球肘発症率を抑制できた事象を発表しましたが、予防指導継続の手法などについていくつかのディスカッションがあり大変参考になりました。
 学会では、肩腱板断裂の最新の知見のシンポジウムが組まれ、定点検診の追跡結果から、無症候性腱板断裂があった場合、7割で断裂が拡大し有症候性に移行してしまうことなど実際の外来で提示できる有用な数値が種々発表されていました。骨粗しょう症のセッションや講演ではビスホスホネート製剤が脆弱性骨折の予防効果があるのみならず、人工股関節や人工膝関節置換患者では術後服用継続することでルースニングなどから来る再置換を有意に減らすことなどが発表されていました。
 最も印象深かったのは文化講演として組まれた藤原正彦氏の「日本の国柄~日本人の情緒から考える整形外科への提言」です。【かつて世界一であった日本の教育や制度(医療制度を含む)が、欧米のまねをすることでどんどん衰退している。日本は前を走る欧米を追いかけているつもりになっているが、実はそれは一周遅れの集団なのであり、日本独特の文化や習慣を捨ててはいけない。】というお話でした。大変面白かったです。整形外科分野においても海外で開発された人工物や術式に飛びつく傾向がありますが、成績の良かった手術を理念を果たして捨ててよいものか。「世界でやっているから」ではなく自らの自然な判断と患者さんの思いをくみ取り物事を判断する必要があります。

 関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 

 

第2回 OLIF/LLIFセミナーに参加して

 平成28年2月27日(土)、神戸ポートピアホテルで開催された第2回 OLIF/LLIFセミナーに講師として参加しました。
 - True Trainerを用いたOLIFハンズオンと各テーブル講師による小演題 -
  「私が行っているOLIF」

 診療部長 中野恵介

   

第28回 日本肘関節学会に参加して

 平成28年2月12・13日に岡山県の岡山コンベンションセンターで開催された第28回日本肘関節学会に参加してきました。
 日本肘関節学会は、肘関節を専門とするプロフェッシナルの学会で、国際的にも肘だけに特化した学会はなく非常に専門性の高い議論が毎年行われています。
 今回は2つの演題を発表しました。
 ①ポスター 過去5年行ってきた野球肘検診の検討に関する演題
       「小中学生野球選手への予防指導介入型野球肘検診が単年度新規発生率を減少させた」
 ②主題口演(ビデオ発表)「single use OATSを用いた肘関節鏡視下骨軟骨移植術〜
                       成長期野球選手に対する短期成績と術後早期MRI像の推移」
いずれの発表も質疑応答時間以外にも多くの質問を受けました。
 ①については、今回のポスター発表の中で 最優秀賞を受賞することができました。年間に二人だけしか選考されない賞で大変光栄なことで私自身も大変驚きました。授賞式では弘前大学の藤先生、古島先生、私の肘関節鏡手術の恩師である大阪大学の島田先生はじめ多くの重鎮の先生方から祝辞を頂き大変恐縮しました。
 また②もこれまで発表が行われていない手術方式の発表で、当院で多く行っています。これについても沢山の質問と称賛を頂きました。
 いずれの発表も成長期の野球肘をいかに予防、治療復帰させるかというライフワークに取り組んだもので、今後も未来ある子供達のために研究を重ねて行きたいと思います。
 発表にご協力頂きました院長はじめ当院のスタッフの皆様、富山大学整形外科スタッフの皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 

   



第16回 日本クリニカルパス学会に参加して

 平成27年11月14日に東京ベイ舞浜ホテルリゾートで開催された第16回 日本クリニカルパス学会に参加してきました。
 東京保健医療大学の主管で開催された本学会は、全国から4,000人もの医療者が集まる大規模な学会で、全国各地のあらゆる規模の医院や病院の経営担当者、現場医療者、公的機関や厚労省の関係者が集まり、医療の質や安全性向上、経済性向上のためのツールやクリニカルパス、包括医療、地域連携、医療ICTネットワーク、医療政策を発表討議する学会です。現場主体の取り組みや各病院で作成したクリニカルパスの発表など、学会規模は年々拡大しています。
 今年の学会では、私は2日目の「包括評価制度におけるクリニカルパスの役割」のテーマのシンポジウムで座長、総括を担当しました。
 会場は立ち見も出る超満員で、クリニカルパスを用いた医療が包括医療の質を下げずにまた入院期間Ⅱの設定や改定に役立っていることを高度急性期、急性期、回復期、慢性期の立場で検討された発表と活発な議論が行われました。「包括評価制度は自院の医療看護ケアプロセスの改善を行うチャンスと捉えましょう」ということで締めくくらせていただきました。今後は外来治療、回復期/療養期型病床でのクリニカルパスの活用が大きなテーマになりそうです。
 他の会場でも、様々な角度から本邦の医療の質や効率性を高める実践が発表され大変参考になりました。また合同開催された「日本ユーザーメード医療IT研究会」では、ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー君」も登場し、医療機関での活用実際例が紹介されました。さらに、オーダリングシステムの結果情報と連動し患者情報をリアルタイムに医師に伝えるapple watchやiPhoneの活用などが報告され、情報の即時共有や安全性確保が高レベルで、しかもより安価で浸透し始めていることを感じました。
 本学会には、学会発足時より参画しており臨床と並んで私の重要な「2足のわらじ」のライフワークの一つになっています。今回の学会で、本学会の新理事に推薦承諾され17人の理事の一員となりました。今後は自院のみならず地方全体や日本全体の活動や行政との折衝活動が求められます。電子クリニカルパス、企画広報、学会用語担当となっており、臨床現場の現役スタッフとしての視点を大切にして、質の高い医療看護ケアの充実のために尽力していきたいと考えています。
 本学会次年度は、石川県立中央病院の主管で、再来年は大阪府若草第一病院の主管で開催される予定です。

 関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 

第21回 日本最小侵襲整形外科学会に参加して

 平成27年11月13・14日のステーションコンファレンス東京で開催された第21回 日本最小侵襲整形外科学会に参加してしました。
 日本医科大学の主管で開催された本学会は会長の澤泉先生が5月に急逝され、日本医大の高井教授を代行とし、会が運営されました。澤泉先生の明るい声が聞けなかったことは残念であります。心からお悔やみ申し上げます。
 今年の学会では、私は1日目の「手・肘関節鏡の実際」のテーマのセッションで座長を担当し、同セッション内で演者としても発表を行いました。発表は「肘離断性骨軟骨炎に対する関節鏡視下骨軟骨移植術」で私が行っている2種類の方法をビデオにまとめ動画発表したものです。
 肘の離断性骨軟骨炎に対する鏡視下骨軟骨移植術は、実はこれまで報告がなく、会場からも多くの反響も頂いたため、今後は論文の形でまとめ、長期成績についても継続報告したいと考えています。
 手関節鏡についてはここ数年で大きく普及、発展していますが、これは手の外科学会がcadaverトレーニングに力を入れている証といえるでしょう。
 会では私が初めて大阪で肩関節鏡を学んだ米田稔先生、肘関節鏡を学んだ島田幸造先生も参加されており、大変懐かしい思いでディスカッションが行えました。
 次年度は、名古屋で開催されます。

 関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 

第28回 日本臨床整形外科学会学術集会に参加して

 2015年7月19・20日に 第28回 日本臨床整形外科学会学術集会に当院から4名のメンバーで参加してきました。今回のテーマは「整形外科の明日に架ける橋」。開催地の山口県下関はNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台でもあり、明治維新を彷彿させる名所旧跡が多数あります。学会も他領域にて革新的な発表や熱い議論が多くなされ、今後の展開が楽しみなものばかりでした。来年度は札幌で行われます。

当院からの発表は以下の通りです。
⚫シンポジウム1 明日をになう若者のための運動器検診
 「市内小中学生全選手に対する野球肘検診の実践と効果」 今田光一
⚫シンポジウム2 整形外科スポーツ障害の治療
 「成長期野球選手における離断性骨軟骨炎に対する関節鏡手術の成績」 今田光一
⚫一般演題6 リハビリテーション
 「母指CM関節固定術の治療成績と日常生活動作に及ぼす影響」 佐賀真也
⚫一般演題28 その他
 「ミャンマーでの医療支援活動 −特に手外科治療について−」 中原慶亮

 関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田光一

 
会場前にて   中原慶亮副院長
     
 
今田光一関節鏡・スポーツ整形外科部長   佐賀真也作業療法士

平成26年度 日本臨床整形外科学会研修会に参加して

 平成27年2月22日(日)、東京品川プリンスホテルで開かれた日本臨床整形外科学会研修会に参加してきました。

 特別講演1「国の医療政策と今後の病院運営」
    公益社団法人全日本病院協会常務理事 病院のあり方委員会委員長 徳田 禎久 
 特別講演2「外科感染症治療:治らなかった理由が解れば治せます ~人工関節術後MRSA感染症の治療戦略~」
    大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授 浅利 誠志 

 シンポジウム
 1)院内各種委員会の活動課題 日本医療機能評価を受審して
     竜操整形外科病院 管理部長 難波 修
 2)当院における転倒、転落の実態とその対策
     札幌円山整形外科病院 リハビリテーション科 技師長 仲澤 一也
 3)当院における感染管理委員会活動
     高岡整志会病院 看護主任 多古 里美
 4)感染対策と地域連携
     熊本機能病院 感染対策委員会委員長(麻酔科部長) 今泉 隆志
 5)医療安全委員会の活動状況
     仙台整形外科病院 医療安全管理者 千葉 千恵子

 特別講演1では、国の医療政策の中で、各病院が病床機能報告を実施し医療機関の医療機能の分化・連携の推進を図ろうとしている中で今後どの様に病院運営していくかについての内容でした。特別講演2では、実践的な感染症治療薬剤の選択の基本についての内容でした。
 シンポジウムは、院内各種委員会の課題と克服についてがテーマとなりました。当院は感染管理委員会の活動内容について発表しました。この委員会は、患者・家族・病院職員・訪問者などを医療関連感染から守るための感染対策を実行しています。今後も病院感染に対して、全職員で取り組んでいけるような体制つくりを実施していきたいと考えています。
 今回はシンポジストとして研修会に参加し、看護師として貴重な体験をすることができました。

看護部主任 多古里美

 

第22回 腰痛学会に参加して

 11月14日、千葉幕張メッセにて「O-arm navigationを用いた腰椎前方後方同時固定術の治療成績」の演題にて発表しました。国内でもまだ始まったばかりの手術法であり、他の発表の方も試行錯誤の状態で、まだまだ勉強が必要であることを痛感いたしました。

整形外科医師 澤田利匡


ミヤンマーでの医療活動

 平成26年9月14日から約1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 ミヤンマーを訪れるのはこれで10回目になります。今回は初めてバンコク―マンダレーの新国際線を利用してみました。今までは羽田―バンコク―ヤンゴンの国際線とヤンゴン―マンダレーのいつ飛ぶか分からない国内線を乗り継いでいましたが、新航路の利用で航空運賃が安くなるだけでなく移動時間も短くなり、高齢のボランティアにとってはかなりの福音となりました。
 もう一つ今回は、私と志を同じくする整形外科と形成外科の30代後半の医師二人が同行することになりました(写真)。この二人を中心に、私は主に助手となり、小児の手指の熱傷瘢痕拘縮と先天異常の手術をこなしてきました。あと何年か一緒に手術し、私が動けなくなった時には、私の代わりとなってくれるだろうと期待しています。
 手術でも新しい試みがありました。今回持参したポンプ式の空気止血帯は、血圧計を代用した時と異なり、確実な無血術野を得ることができました。手動式で複雑なメンテナンスが不要であり、この地の病院には不可欠なものと思われました。更にたまたまこの時期は、日本人医師3名、ミヤンマー人医師2名と、我々を含め8名の医師が一緒に活動することになり、日本人の若い医師が全身麻酔をかけ、他の医師も手術を手伝ってくれて、小児の手術をストレスなく行うことができました。
 ここで会う日本人の若い医師や看護師は、本来ならば第一線の総合病院で働いている年齢だろうに、この地にじっくり腰を落ち着けて、高度な設備が何も整っていない環境で無給で医療を行いながら、何を求めているのでしょうか。彼らが日本に帰ってきて、日本の医療従事者の心にどのような影響を与えるのかとても楽しみです。

副院長 中原慶亮


第40回 日本整形外科スポーツ医学会に参加して

 2014年9月12日から14日まで東京で開催された第40回日本整形外科スポーツ医学会に参加してきました。
本邦にはいくつかのスポーツ医学関連の学会がありますがその中でも現場に最も近い、と言われている学会です。ジュニアからハイレベルなプロ競技選手のスポーツ障害やサポートに関する発表が毎年行われています。
 私は前年度本学会の代議員に選出頂き、学会前日の総会とレセプションにも参加させて頂き本邦を代表するそうそうたるスポーツ医学の研究メンバーとディスカッションすることができました。
 今回の会場は6月にオープンしたばかりの東京虎ノ門ヒルズでしゃれた飲食店とオフィスを包するこのビルの4階、5階のフォーラムホールが会場となりました。4つの口演発表会場と器械展示、ポスター会場が設置されどこでも活発な議論が行われていました。
 今回私は、これまで携わってきた少年野球選手の野球肘検診に関する経年的な結果とその考察について発表しました。2年連続受診者の調査で前年度異常所見がなかったのに次年度異常所見が出現した例についてまとめたものです。たくさんの質問や意見を頂き今後の活動に大きなヒントを得ました。そのほかには、近年スポーツ選手の治療で話題になっているRPR注射療法の講演や機器の展示があり、実際の方法についてすでに実践されている先生から直接そのノウハウを学ぶことができました。すでに超音波インターベーション(超音波機器を用いてのブロックや注射)で実績をあげている当院では充分導入可能な治療法でもあり当院でも早急に準備を始めたい思います。
本学会は医師のみならずコメディカルスタッフも参加できるため今後当院からも多くの発表ができるようになればと思います。

関節鏡・スポーツ整形外科 今田光一


第27回 日本臨床整形外科学会学術集会に参加して

 7月20日、21日と仙台で開催された第27回 日本臨床整形外科学会学術集会に参加させていただきました。

 「PED(経皮的内視鏡下椎間板ヘルニア摘出後)導入後20例の短期成績」
 ◎近江 洋嗣、中野 恵介、中原 慶亮、岩澤 智宏、川岸 利光

 「当院におけるOrthopilotを使用したTKAの術後成績について」
 ◎岩澤 智宏、川岸 利光、中原 慶亮、中野 恵介、近江 洋嗣

 「当院におけるロコモティブシンドロームの実態調査」
 ◎中村 秀恒、山田 哲郎、沢崎 亨、沢崎 千尋、川辺 智絵、濱田 梨沙、佐賀 真也、高橋 寛、武内あけみ、
  岩澤 智宏、中原 慶亮、川岸 利光

 「手術リネンの変更とその効果」
 ◎卒田 小百合、谷内 祐美、諸江 良子、山本 かず子、佐藤根 敏彦、川岸 利光

 260題を超える演題の中の一つとして、私共手術室スタッフ皆で昨年より取り組んできた『手術リネンの変更とその効果』の検証を口演いたしました。このような大きな学会で日々の業務の成果を発表することができ大変光栄であり、私たちの自信となりました。今後もより良い医療の提供のため、スタッフ一同でさらに研鑚していきたいと感じました。

手術室看護師 卒田 小百合

川岸院長 座長 近江洋嗣医師 発表
   
卒田小百合看護師 発表 中村秀恒理学療法士 発表
   
  伊達政宗像の前にて

日本クリニカルパス学会教育セミナーに参加して

 7月26日に大阪で開催された日本クリニカルパス学会教育セミナーに講師の一人として参加して来ました。クリニカルパスは1990年代から日本で用いられる様になった医療ケアツールで医療の安全性と効率性に有効である事から行政からもその活用が勧められているもので当院でも90%以上がパス適応患者さんです。一方で使用した患者さんの分析を行いパスの内容を改善していくいわゆるPDCAサイクルを回さないと単なるセットオーダーツールになってしまうことが指摘されており、オーダリングシステムや電子カルテの普及と相まってその活用法が近年大きなテーマになっています。本学会の用語委員、電子パス委員、企画広報委員を長年つとめている事から今回教育セミナーでの講義を依頼されました。
 セミナーでは適切なパスの運用方法、分析活用法について自験例や全国事例、電子カルテやオーダリングシステムのメリット/デメリットについて講演を行いました。会場は満員で富山石川からも多くの看護師や事務職の方が参加していました。今後も国の医療政策とリンクして行く重要なツールと思われますが患者さん中心の医療を外れることのないよう、コンセプトの確立と情報収集とがかかせません。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田 光一


第6回 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)に参加して

 7月24日から26日まで広島にて開催されたJOSKAS学会に参加して来ました。本学会は長い歴史を有する日本関節鏡学会と日本膝関節学会が統合し、2009年に発足したもので「日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会」を正式和名としています。同分野の海外学会とも盛んに交流しており、参加者も非常に多い学会です。これまで札幌、沖縄を交互に会場として開催されて来ましたが、今回初めて本州での開催となりました。
 初日に評議員会に参加後、ほぼ終日参加し、各関節の関節鏡手術、スポーツ医学分野での最新情報を収集してきました。機器展示場では毎年多くの新しい機器のデモンストレーションが行われ、この学会を機に新規発売、発表される機器もあるため、ここも見逃せません。今回も安全性有効性の高い器械がいくつか見つける事ができ、今後の当院の手術においても早速活用できるものが見つかりました。今回は肩関節鏡・肘関節鏡・足関節鏡のセッションを中心に聴講し、当院からも野球肘に対する肘関節鏡手術について発表、その手技や術後経過についていくつかの質問を受けました。今回は特別企画としてスポーツライター二宮清純氏と元広島カープ衣笠祥雄氏の公開対談もあり、「鉄人」と言われたプロ選手の視点からみた、現在の日本のあまりにも欧米化しすぎたトレーニング理論に警鐘を鳴らす提言も聴けました。毎年参加、発表していますが関節鏡手術を行っているものにとっては欠かす事のできない重要な学会と認識しています。次年度また全国の仲間に会えることを楽しみにしています。

関節鏡・スポーツ整形外科部長 今田 光一


第89回 日本医療機器学会に参加して

 6月12日から14日まで新潟市の朱鷺メッセで開かれた日本医療機器学会に行ってきました。会場は信濃川に沿って建てられた大きなイベント会場です。この学会は一般にはあまり知られていないと思いますが、「産学連携による医療技術、機器の改良開発並びに医療安全の発展に寄与することにより、医学・医療の質の向上を目指し、人類の健康と福祉に貢献する」ことを目的とした幅広い職種が参加する歴史のある学会です。第一日目は臨床工学技士(ME)や医療機器情報コミュニケータ(MDIC)を対象としたセミナーや講習会、薬事法改正や診療報酬改定による影響の講演などがありました。併設機器展示としてメディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2014が開催されており多くの医療機器メーカーや取扱業者の出展がありました。第二日には会長講演、シンポジウム、一般演題などの発表があり、医療機器の安全、保守管理、滅菌方法や感染防止などの内容です。最終日に私が座長と発表を兼ねた2時間枠のシンポジウムがありました。「手術室での生体モニターの視認性、作動音とアラーム音の認識」というテーマで、麻酔科医、外科医、臨床工学技士、手術室看護師、モニター機器メーカー社員から発表していただきました。私は「手術室の環境音 デシベルと音の性質について」ということで、手術機器やモニター音、BGMなどにより生じる雑音が手術室スタッフの業務に支障を与える可能性について発表しました。
 モニター音やアラーム音の変化が雑音で聞き取りにくいということが無いよう普段からの配慮・意識づけが必要です。有意義な学会でした。

副院長 佐藤根敏彦

佐藤根副院長

機器展示会場

日本麻酔科学会第61回学術集会に参加して

 横浜市のみなとみらい地区にあるパシフィコ横浜で5月15日から17日までの日程で開催された麻酔科学会学術集会に16日から参加してきました。当院からは伊藤名誉院長と遠山先生も参加しました。今回「現在の麻酔科学の影響と実りある麻酔科の将来像」をテーマとして掲げ、15会場を利用して様々な特別講演、シンポジウム、一般演題、教育講座、ランチョンセミナーなどがありました。参加当日の午後に、東京大学初代麻酔科教授で94歳になられた山村秀夫東大名誉教授と私の弘前大学麻酔科当時の先輩であり医史学で多くの著書がある松木明知弘前大学名誉教授との対談「草創期の日本麻酔科学のあゆみ」があり、昭和20年代からの興味深いお話を聞くことができました。外科学会からなんとか麻酔科学会を独自に開催するようになった経緯など先人たちの大変な苦労があったことが分かりました。
 麻酔は麻酔薬や麻酔器、モニターの進歩などこの数十年で大きな進歩を遂げていますが、今回の臨床麻酔関連の発表の内容からは、様々な機器を駆使した複雑な麻酔管理の方向になりつつあり、これが本当に正しい方向なのかという懸念も持ちました。
 夕には会員懇親会の企画として、最近世界的に注目されるようになった由紀さおりさんのスペシャルコンサートがありゆったりした時間をすごすことができました。
少々あわただしかったですが、思い出となる学会でした。

副院長 佐藤根敏彦

山村先生を囲んで

平成25年度 日本臨床整形外科学会研修会に参加して

平成26年2月23日、品川プリンスホテルにて研修会が開催されました。
■特別講演1「整形外科におけるリスクマネジメント」
           佐々木総合法律事務所  佐々木 泉顕 弁護士
 医療紛争の1/3が整形外科で起り、医療過誤訴訟においては、医療水準を満たした診療とインフォームドコンセントを行い、記録をして行く事。又、医療事故発生を防止する為に、個々の知識・技術の向上と医療者間のコミュニケーションが大切で、いつ起きてもいいように対応について準備することが重要であると知りました。

■特別講演2「2014年診療報酬改定のポイント」
           仲野メディカルオフィス  代表 仲野 豊氏
 今年度の診療報酬改定は医療側にとって厳しい環境であると言われ、今後自病院がどの方向に向かうのかを決めなければいけない大切な年となることを知りました。

■シンポジウム:「整形外科診療における医療安全の諸問題」
1)院内暴力・迷惑行為の現状
   -JCOA医療安全・倫理委員会アンケート調査結果から―
           JCOA医療安全・倫理委員会委員長 渋谷 真一郎
2)裁判・紛争事例から見る患者個人情報の取り扱いについて
           JCOA医療安全・倫理委員会委員 宇田 憲司
3)当院で行っている医療安全対策について
           高岡整志会病院 医療安全管理者 盛田 富喜子
4)当院における転倒・転落の実態とその対策
           医療法人社団寿量会 熊本機能病院 医療安全管理室室長 櫻間 博文

 シンポジウムでは、整形外科における医療安全の諸問題について、医師側からは日本整形外科学会からの院内暴力・迷惑行為アンケート結果報告や個人情報に関しての訴訟事例内容、結果についての報告があり、医療安全管理室(者)側からは、インシデント・アクシデント事例の実態と対策についての発表がありました。当院でも安全推進の取り組みとしての4部門の活動内容や自院でのリスク対応などを報告しました。今後も職員と共に当院の医療安全活動をより一層進めて、医療安全対策の充実を図っていきたいと考えています。
 当日東京マラソンが行われ、品川プリンスホテル前の道路がマラソンコースであると言われ研修終了後を楽しみにしていましたが、東京マラソンが行われていた痕跡も見られず少しがっかりしました。今回は、シンポジストとして参加させて頂き貴重な体験となりました。有難うございました。

医療安全管理者 盛田富喜子

                                  

ミヤンマーでの医療活動

 平成26年2月9日から約1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 ミヤンマーを訪れるのはこれで9回目になります。30年ぶりの東京大雪のため国内・国際線の欠航と大幅の遅延が相次ぎ、初めて羽田空港の待合室のベンチで身体を丸めて一夜を明かし、10時間以上遅れてヤンゴンに着くことができました。帰りもまた関東地方の大雪のため羽田空港には着陸できず、関西空港に変更着陸となりましたが、これは富山に帰るためには好都合となりました。いずれにせよ航空機の利用には、天候異常が大きく影響することを覚悟しなければならないと改めて感じさせられました。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず子供たちの手足の熱傷瘢痕拘縮や先天異常などが多く、手外科技術が必要となり、手外科専門医の活躍の場でもあります。熱傷瘢痕拘縮の症例では、人工皮膚を用いてから植皮を行うことによるストレスは減りましたが、空気止血帯が無く血圧計を代用しており、たびたび止血圧が緩み出血のため手術が中断させられることがありました。帰国後ある医療機器会社から昔の空気ポンプ式の止血帯を寄付していただきました。手動式で複雑なメンテナンスが不要であり、以前から探し求めていたものでした。次回これを持ち込んで、試してみたいと思います。
 今年の1月にジャパンハートが病院のすぐ近くに宿舎を新築しました。以前の僧侶からの借家と違い、2階建てで、すべて2人部屋となり、トイレも4室、温水シャワーが2室もあり、居住性はかなり改善しました。今後多くのボランティアの医師や看護師がワッチェ病院を訪れて、深夜にまで手術が及んでも、シャワー待ちで睡眠不足になることはなさそうです。この宿舎を拠点として、NPOジャパンハートの活動がこの地に根を下ろし、ますます発展していくことを感じました。

副院長 中原 慶亮

                                  

ミヤンマーでの医療活動

 平成25年9月9日から約1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 ミヤンマーを訪れるのはこれで8回目になります。雨季の9月に訪れるのは初めてで、ワッチェ病院の前を流れるイラワジ川が氾濫をおこし、1階の病棟が天井近くまで浸水しているのを見て、雨季の恐ろしさを感じました。
 ミヤンマー政府の民主化政策が始まり、多数の諸外国との流通が活発になってきたためか、ホテル料金が3倍にも跳ね上がり、ボランティアには辛い状況になってきました。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず子供たちの手指の熱傷瘢痕拘縮が多く、受傷から10年以上も経過した症例も少なくありません。経過が長いため、既に指関節そのものに拘縮を生じており、十分な矯正を得ることができませんでしたが、治療を受けたことの喜びだけで満足しているようでした。治療費が払えず、また手外科専門医もいないため、長い間放置せざるを得なかったのだと思います。
 ワッチェ病院では、我々医師と患者の間には金銭関係は存在しません。あるのはお互いの信頼関係と、医師が持てる技術を駆使して少しでも治そうとする意志だけです。そのお返しは、帰国する時に見せる子供たちの微笑です。
今回は、弘前大学の後輩の上里涼子医師と一緒に手術することができましたので、精神的にも肉体的にもかなり負担が少なくて済みました。少しずつですが若い医師たちも参加し始めており、今後が楽しみです。


副院長 中原 慶亮

       

                                  

       

第26回日本臨床整形外科学会学術集会に参加して

 

 平成25年7月14日・15日に静岡市のグランシップ静岡にて開催されました。
 当院からの演題は以下の3題であり、いずれも活発な討議により日々の診療に対する意欲・知識が深まりました。

「腰椎疾患患者の家事動作と健康関連QOL について ‐手術前・手術後3 ヶ月の比較‐」
◎沢崎 亨、佐賀 真也、濱田 梨沙、武内 あけみ、高橋 寛、山田 哲郎、川辺 智絵、中村 秀恒、中野 恵介、川岸 利光

「術中CT ナビゲーションによる医療従事者の放射線被ばく低減化の検討」
◎近江 洋嗣、中野 恵介、中原 慶亮、岩澤 智宏、横田 晃、川岸 利光

「手術後患者が求める飲水と食事」
◎高畑 奈美子、田中 美智子、田中 美佳子、島 章子、津田 三和子、伊藤 祐輔、佐藤根 敏彦、川岸 利光

 富士山が世界遺産に登録された直後ということもあり、静岡市では至るところに「祝 富士山世界遺産登録」の垂れ幕がかかり、お祭りムード一色でした。タイトなスケジュールを縫って、久能山東照宮、三保の松原などを観光しましたが、いずれも大勢の観光客で賑わっておりました。学会懇親会では静岡名産の桜エビやカツオが振る舞われ、静岡の魅力を存分に堪能できました。

医師 近江洋嗣

           近江洋嗣医師 発表                       高畑奈美子看護師 発表

      

          沢崎亨理学療法士 発表                   学会場にて祝富士山世界遺産登録

  

             三保の松原にて                            久能山東照宮にて

第42回日本脊椎脊髄病学会に参加して

 2013年4月25日から27日まで沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催された第42回日本脊椎脊髄病学会に中野恵介診療部長と参加しました。初の沖縄開催ということでポスター発表も含め1068題もの演題発表があり、会場は熱気に包まれていました。中野先生は低侵襲腰椎固定術について口演をされましたが、低侵襲脊椎手術は患者さんへの負担を軽減することから注目が高まっており、活発な議論が交わされました。私は脊椎椎体骨折に対する経皮的バルーン椎体形成術という新聞などでも紹介されている手術法について、ポスター発表を行いました。2011年に認可された手術方法ですが多数の施設から発表があり、治療効果が従来法よりも優れていることを再確認しました。
 雨や曇りの日が多かったのですが、気温は22度~24度と暖かく半袖のシャツで過ごせました。那覇市の国際通り周辺はグルメなお店で賑わっており、波照間そば、グルクン(タカサゴ:沖縄周辺で採れる海水魚)の刺身・唐揚げ、ゴーヤチャンプル、泡盛、ラフテー、石垣牛ステーキなど忘れられない美味と出会いました。この学会がまた沖縄で開催されることを願って帰りの飛行機に乗りました。

医師 近江洋嗣

       

                 中野恵介診療部長 発表                        

       
              ポスター会場にて

ミヤンマーでの医療活動

 平成25年2月3日から2月10日までの1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 ミヤンマーを訪れるのはこれで7回目になります。ミヤンマー政府の民主化政策が始まったためか、10人以上の日本人観光客のグループを2組も見かけたのは、この国を訪れてから初めてのことでした。そして税関や客室乗務員からも日本語で「こんにちは」、「ありがとうございます」とたどたどしく声を掛けられ、これも初めてのことで驚かされました。しかし日本企業などの急激な進出に伴い、私がいつも宿泊しているホテルやチャーターしたタクシーの料金が1.5倍にも跳ね上がり、この国の経済や生活に悪い影響を与えないか心配です。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず手指の熱傷瘢痕拘縮が多く、特に10歳以下の小児に多く認められました。小児であろうとケタラール麻酔と局所麻酔で手術を行わなければならず、手術時間の短縮のため、植皮の代わりに人工皮膚を用いてみました。人工皮膚でも術後2-3週間で上皮化が得られるため、患者さんへの精神的・肉体的負担がかなり軽減されることが分かりました。
 今回の整形外科手術ミッションでは、一人で1日に8件の手術を行う日がありました。62歳の自分にとってかなりの疲労を感じましたが、まだまだ手術ができるんだという自信を持つことができ、ミヤンマーの子供たちと協力していただきましたワッチェ病院のスタッフに感謝を申し上げます。


副院長 中原 慶亮

       

平成24年度日本臨床整形外科学会研修会に参加して

 平成25年2月11日、東京品川プリンスホテルで開かれた日本臨床整形外科学会研修会に参加しました。

特別講演1
「第6次医療法改正案の動向
~社会保障と税の一体改革に向けた医療制度の見直しについて~」
演者:仲野メディカルオフィス 代表 仲野豊先生
特別講演2
「地域包括ケアシステムの中での整形外科医療の関わり」
演者:医療法人寿量会熊本機能病院 総院長 米満弘之先生
シンポジウム
「医療の質の確保を維持するために工夫していること」

 1)職員の為の保育施設~働きやすい環境つくり~         今林整形外科病院 看護部長  北和代

 2)職員教育と人事評価                           高岡整志会病院 看護部主任 川原由起

 3)医師事務補助業務について                      小倉記念病院 診療情報管理課主任 安松信

 4)当院における整形外科輪番の現状と夜間救急外来の課題   ヒロシマ平松病院 看護部副部長 新保深雪

 特別講演1では、政策や診療報酬改定の動向を踏まえて、今後の医療の展望についての内容でした。特別講演2は、高齢化社会の課題が多い現状での地域包括のケアシステムとリハビリテーション医療の役割についての講演でした。どちらの講演も根底にはやがて到来する超高齢化社会の問題があり、社会保障制度も地域医療も高齢化と共に変遷する事を再認識しました。
 シンポジウムでは「医療の質の確保」の為の様々な取り組みが発表されました。当病院は、「職員教育と人事評価」のテーマで、院内研修の内容や学会・院外研修への参加支援状況、院内研究発表会の紹介と人事評価の概要を発表しました。患者さんに安全な医療を提供するために私たちは、日々努力をしています。評価は人の成長のためであり、個人のモチベーションアップは組織を活性化させて病院の発展に繋がると考えます。医療の質を確保するために今後も日々研鑚を積んでいきたいと思います。
 東京は暖かく、タイトなスケジュールにも関わらず羽田国際空港ターミナルで社会見学もできました。今回はシンポジストという貴重な体験をさせて頂き大変有意義な研修になりました。有難うございました。
看護部 川原由起

ミヤンマーでの医療活動

 平成24年6月30日から7月5日までの1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 ミヤンマー到着時に、ヤンゴン事務局スタッフから「おかえりなさい」と声を掛けられ、「ただいま」と無意識に返事をしてしまいました。いずれこの国に住むことになるのかもしれません。
 ミヤンマーの6-7月は雨期で、年間を通して最も降水量の多い時期とされています。そのためワッチェ病院のすぐ前を流れるエーヤワディー川が増水し、ワッチェ病院の地階まで浸水してきました。患者さんたちは1階以上に移動していましたが、特に慌てることなくいつものことのような慣れた様子でした。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず手指の熱傷瘢痕拘縮が多く、特に10歳以下の小児に多く認められました。小児であろうとケタラール麻酔と局所麻酔で手術を行わなければならず、植皮術を行うと手術時間が延び、疼痛と恐怖のため身体や手指を動かすため、植皮の生着が悪くなると考えられました。今回は日本から人工真皮を持参し、手術時間を大幅に短縮することができ、この人工真皮の生着状態が良ければ、我々だけでなく患者さんの精神的・肉体的負担がかなり減ると考えています。
 今回の整形外科手術ミッションでは、ミヤンマー人手術室看護師が手薄なこともあり、当院の坂田明世元手術室看護師に同行していただいて、ストレスなく手術をすることができました。あらためてご協力をいただいた、院長をはじめ当院職員の方々にお礼を申し上げます。


副院長 中原 慶亮

       

                                  

       

                                 

CAOS international に参加して

 2012年6月13日から16日まで韓国のソウルで開催された第12回国際コンピューター整形外科手術手技学会(CAOS international 2012)に参加してきました。ソウル市南部のコエックスワールドトレードセンターという、ホテルやショッピングセンター、カジノ等の複合施設で開催されました。非常に大きく広い会場で、隣ではクリーンエネルギーに関する国際学会や、「韓流」・ファッションの発信地らしくファッションショー等が開催されていました。口演会場、ポスター会場とも1ヵ所ずつでしたが、膝関節と股関節を中心として、コンピューターによる整形外科基礎研究・臨床研究についての学会で、韓国、日本、アメリカをはじめ世界各国からの発表がありました。私は今冬弘前大学整形外科スポーツ班で研修中にまとめた、HTO(高位脛骨骨切り術)後の患者さんにTKA(人工膝関節置換術)を施行する際、ナビゲーションシステムを用いたという内容のポスター発表を行いました。弘前大学から山本先生の応援をいただきました。当院でも先月よりオルソパイロットというエースクラップ社のナビゲーションシステムを膝関節の手術に導入しており、システムへの理解を深める意味でも非常に有意義な発表になりました。また、脊椎や手の外科、腫瘍や外傷の手術にもコンピューターが導入されていることについて貴重な発表を聞くことができ、今後の診療に活かしてきたいと思います。さらに患者さん独自の人工関節や、ロボットによる人工関節手術の発表やデモンストレーションもあり、近未来の整形外科手術を予感させました。
 韓国といえば、「食」も一つの魅力ですが、本場の焼肉やビビンバに舌鼓を打ちました。値段が非常にリーズナブルなことに驚きましたが、なにより各種キムチをはじめとした副菜の多さに驚きました。また、南大門市場や明洞へも足を伸ばしました。南大門は残念ながら工事中でしたが、アジア屈指の都市ソウル繁華街はたいへんにぎわっており、コリアンパワーを感じました。
 今冬の弘前での研修ならびに今回の国際学会での発表につきまして、川岸院長のご厚情に心より感謝申し上げます。また中原副院長、中野診療部長、佐藤根副院長、伊藤名誉院長、坂巻麻酔科部長、近江医師をはじめ職員の方々には留守中、ご迷惑をかけたと思います。この場を借りて、お礼申し上げます。本当にありがとうございました。


 医師 岩澤 智宏

                学会会場にて                  COEX ワールドトレードセンター(学会場)

 

                 ソウル駅                                明洞市場

ミヤンマーでの医療活動

 平成24年2月24日から29日までの1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 これで5回目の参加となりますが、今回はワッチェ病院での手術のほか視覚障害者自立支援全国セミナーでの講演を依頼されました。
 ワッチェ病院のあるマンダレー地区は、朝夕はまだ上着が必要な寒さでしたが、日中は太陽の日差しが強くなり、気温も徐々に27-8°と汗ばむほどになりました。ミヤンマーでは2月の下旬ころから乾季が始まり、からっとした好天気が続くため旅行にはベストシーズンとされています。特にヨーロッパからの観光客が目立ちましたが、日本人の商社マンも例年より多く見かけ、時代の流れを感じました。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず手指の熱傷瘢痕拘縮と先天異常が多く、2日間で9例を行ってきました。外来では、強直性脊椎炎による股関節強直、反復性膝蓋骨脱臼、膝蓋骨骨折偽関節、骨形成不全症による大腿骨変形、脛骨内反症などの患者さんが、遠路を時には2-3日かけて訪れてきていました。治療費が払えないため、成人あるいは年長児になるまで放置し、無料で治療を受けられる噂を聞いて来られた人々ばかりでした。診断はつくものの、この施設では何もできないことを告げるだけでした。悲しそうな失望の視線を投げかけて去られる姿を見て、日本であれば治すことができると言いたいのを我慢するしかありません。
 楽しいこともありました。ミヤンマー人の若い医師が手術の見学に来ていました。基本的な整形外科手術手技を、技術移転という形で教えることができました(写真1)。
 ヤンゴンに戻り、2日間に渡り行われた視覚障害者自立支援全国セミナーに参加し、「医療マッサージの有用性」について講演してきました(写真2)。整形外科医が少ないミヤンマーにおいては、適応を守れば医療マッサージは整形外科疾患のケアに役立つと考えられました。今後も機会があれば協力させていただきたいと考えています。


副院長 中原 慶亮

       

                                  (写真1)

       

                                 (写真2)

平成23年度日本臨床整形外科学会研修会に参加して

 平成24年2月12日品川プリンスホテルにて、研修会が開催されました。
 午前の部は特別講演として、藤川謙二先生による「自賠責・労災保険をめぐる問題点」と佐藤章先生による「平成24年度・診療報酬改定への対応策」があり問題点や方向性について勉強することができました。
 午後の部は、「医療安全の向上と組織の活性化をはかる」の演題で6部門での取り組みについての発表とパネルディスカッションが行われました。

1.転倒・転落事故防止に対する取り組み 
          浜脇整形外科病院 看護部主任 大庭 鈴子
2.患者の信頼と安全を確保するために行うべきこと  
          竜操整形外科病院 放射線科主任 松本 浩二
3.整形外科病院でのNSTの必要性について 
          今林整形外科病院 主任管理栄養士・NST専門療法士 古殿 たつみ                     4.病院機能評価Ver.6から見た医療安全管理とは 
          成尾整形外科病院 医療安全管理室室長 山本 千美江
5.ICDコーディングの精度向上に向けて 
          川嶌整形外科病院 医療事務部・診療情報管理課 緒方 優
6.インシデントや苦情から患者満足度アップにつなげる 
          高岡整志会病院 医事課 三門明 規子

 各病院の特徴を活かした取り組みを聴くことができました。安全と正確さが求められる現代、患者さんに安心していただける医療を提供しなければならないことを改めて痛感しました。
 今回私たちの病院では、医事課での取り組みについて発表しました。当院では、患者さんの視点に立った応対を目指し待合室にフロア係を配置しております。患者さんとコミュニケーションをとり、目配り気配りを心がけています。何かお気付きいただいたことがありましたら、お声をかけていただけたら幸いです。今後も、患者さんの声に耳を傾けていきたいと思います。
 パネルディスカッションでの、質疑応答も活発に行われ有意義な研修会となりました。

  医事課 三門明 規子

ミヤンマーでの医療活動

 平成23年10月19日から25日までの1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 これで4回目の参加となりますが、今回初めて当院看護師(坂田明世)も参加することになりました。ワッチェ病院のあるマンダレー地区は、例年と異なり雨季が長引き最初の2-3日は雨が降りましたが、後半は晴れて30°以上の蒸し暑い日が続きました。
 私はワッチェ病院から自動車で40分くらい離れた、マンダレー市内のレストハウスから通いましたが、坂田看護師は病院の近くの僧侶の施設に寝泊まりしました。早朝から境内の掃除、瞑想、朝ごはんの準備、夜は川の水でのシャワー、蚊との戦いで大変だったと思います。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず手指の熱傷瘢痕拘縮と先天異常が多く、1日4-5例を午前9時から午後5時ころまで、昼休みの1時間をはさんで一人で黙々とこなしてきました。手製の手外科手術台を置き、血圧計を空気止血帯の代用にして、日本で買い求めてきた少しばかりの手外科手術器具を駆使して手術を行いました。そして小児であっても麻酔は局所麻酔とケタラール麻酔の併用で手術を行わなければならず、泣いたり動き出すことが多く、かなりストレスを感じました。停電の回数はかなり少なくなり、1日1-2回約5分間くらいまで減っていました。元手術室勤務の坂田看護師の器械出しで、手際良く手術を進めることができました(写真)。またミヤンマー人看護師の器械出し技術もかなり向上しており、日頃の努力が実を結びつつあると感じました。
 これからも1年に2-3回はミヤンマーのワッチェ病院を訪れるつもりです。ミヤンマーの子供たちに会うことも、そしてボランティアで働いているジャパンハートの若い医師や看護師と一緒に仕事をすることも楽しみです。もし希望があれば、看護職にこだわらず当院の職員と一緒にまた参加したいと考えています。


副院長 中原 慶亮

       

「~プラハ、1000年の古都~  SICOT(国際整形災害外科学会)」

 9月6日~9日、チェコの首都プラハで開催されたSICOT(国際整形災害外科学会)に出席しました。ISMISS(国際低侵襲脊椎外科学会)との共同セッションで、腰椎に対する低侵襲固定術について発表してきました。このセッションには21題の発表がありましたが、日本人の発表は一人だけで、ポーランド、ウクライナ、ロシア、ブラジルなど、今まであまり聞かなかった国からの発表が多数ありました。いずれも立派な内容で、低侵襲脊椎手術の世界的な拡がりを感じることができました。学会の合間には、迷路のような路地裏をさまよい、中世へのタイムスリップを楽しみました。プラハは西暦900年頃より建設された町で、1355年、ボヘミア王カール4世が神聖ローマ帝国皇帝となり、プラハに首都をおきました。カール4世は名君と謳われた人物でプラハに大学や聖ビート大聖堂、モルダウ川に立派な石橋(カレル橋)を建設、プラハは中央ヨーロッパ最大の都市になりました。カレル橋は一度も架け替え工事が行われたことがなく、14世紀のプラハの土木技術は相当高かったと思われます。カール4世の嫡男のバーツラフ4世は凡庸な人物で、15世紀はじめにかけて、プラハの教会関係者の道徳レベルは凋落しました。1490年ボヘミア王国はポーランドとハンガリーと融合され、首都はプラハからブダペストに移されました。1526年、ハプスブルグ家がボヘミアを統治し、1918年までオーストリア帝国の支配を受けました。プラハは15世紀のフス戦争、16世紀の30年戦争、20世紀の両世界大戦など、数多くの戦禍にさらされましたが、街は破壊されず、美しい町並みは残されました。1968年にはプラハの春といわれた事件で旧ソビエトから理不尽な蹂躙を受けました。しかし、プラハの市民は忍耐強く民主化をすすめ、1988年ビロード革命といわれる無血革命を成功させました。1992年プラハ歴史地区はユネスコ世界遺産に登録されました。今日プラハは歴史的建築が数多く残存し、宝石のような町と形容されています。ゴシック、ロマネスク、ルネサンス、バロック、アールヌーボーから近代のキュビズムまで、時代を超越したさまざまな建築様式にふれることができます。この美しい街が破壊されず、ほぼ原形で保存されてきたのは、決して奇跡ではなく、プラハ市民のかぎりない郷土への愛情の賜物と感じたプラハの初秋でした。

診療部長 中野 恵介

               学会場正面にて                                   口演の様子

            カレル橋よりプラハ城を望む                    迷路のような路地裏

           旧市街広場から見たパリ通り         オーストリア国境近くの世界遺産 チェスキークルムロフ

       

                         プラハ近郊の世界遺産 クトナーホラ                         

「第24回 日本臨床整形外科学会学術集会・長崎」

平成23年7月17日・18日に長崎ブリックホール・長崎新聞文化ホールにて、
「第24回 日本臨床整形外科学術集会」が開催され、当院から6題の演題発表がありました。

「運動器の非特異性疼痛に対するK点ブロックの経験」
◎中野 恵介、川岸 利光、中原 慶亮、澤田 利匡、八重垣 誠、林 慶充

「再手術を要した手指腱鞘炎症例の検討」
◎中原 慶亮、川岸 利光、中野 恵介、澤田 利匡、八重垣 誠

「腰椎手術患者での排泄に関するQOL評価」
◎中野 恵介、澤田 利匡、八重垣 誠、中原 慶亮、川岸 利光

「骨粗鬆症性椎体骨折に対するHA blockを用いた早期の低侵襲椎体形成術」
◎八重垣 誠、川岸 利光、中原 慶亮、中野 恵介、澤田 利匡

「医療安全対策に対する手術室看護師の役割」
◎山本 かず子、水口 奈緒美、越前 由美子、佐藤根 敏彦、川岸 利光

「当院における腰椎椎弓切除術後患者の活動性と運動機能について」
◎濱田 梨沙、佐賀 真也、山田 哲郎、沢崎 亨、中原 千尋、川辺 智絵、
武内 あけみ、中村 秀恒、中野 恵介、中原 慶亮、川岸 利光

                       

             学会場 長崎ブリックホール                           中野恵介診療部長 発表

               

             川岸利光院長 座長                      山本かず子師長 発表

                       

                平和公園にて                          日本三大夜景

 学術プロクラムでは210題強の演題で、長崎ブリックホールと長崎新聞文化ホールの2会場で行われました。どの会場も日頃の取り組みや、研究を熱弁されていました。当院からは中原慶亮副院長、中野恵介診療部長、八重垣誠医師、山本かず子師長、濱田梨沙理学療法士が発表しました。今回、研修の合間に稲佐山山頂展望台から日本三代夜景を望むことや、長崎原爆資料館、平和公園などの観光、またグラバー園での懇親会などもあり大変有意義な研修会でした。

平成22年度日本臨床整形外科学会研修会に参加して

 平成23年2月13日に開催された研修会に、川岸院長、私、佐藤根、看護師11名、事務職1名の総勢14名の大勢力で参加してきました。川岸院長が病院部会部会長であり、今回の研修会の企画を取り仕切っていて、司会進行役も務めていました。午前中の特別講演1は、武田整形外科院長 武田浩志先生の「肩関節腱板損傷の診断と治療」で、鏡視下肩関節手術について御自身の豊富な手術症例を動画を用いて詳しく、分かりやすく講演されていました。特別講演2は、日本医師会副会長中川俊男先生が「国民の安心を約束する医療保険制度について」と題し示唆に富んだ講演をされました。地域医療崩壊の原因となった卒後臨床研修制度の新しい方式として、医学部卒業生は卒業大学の地元に設置した研修センターを母体として、県内の大学病院や研修病院あるいは県外の関連病院で一定年限研修してもらい、地域医療に貢献してもらうというものです。現在の研修制度は医師個人が希望する病院を選択するようになりましたが、医師の偏在や医師派遣業者の登録医師が増えるという状況になっているとのことでした。また今後憂慮すべきこととして、政府が医療を産業としてとらえ、外国人富裕層をターゲットに医療ツーリズムを奨励し保険外診療で高収入を得、観光業にもメリットがあり活性化につながるというもので、そのような医療機関に高収入を目的として医師が移動するようになると、保険診療の患者への医療に弊害がでて、ひいては国民皆保険の崩壊に繋がるかもしれないとのことでした。メディアは医療ツーリズムを華やかなこととして取り上げていますが、心しなければならないことだと感じました。
昼食をはさんで午後は、パネルディスカッション「チームとして医療安全の向上を目指す」というテーマで4題の講演が行われました。
1.手術部責任医師(麻酔科医):手術安全チェック、手術部位感染予防の現状等
                                高岡整志会病院 副院長 佐藤根敏彦
2.チームにおける薬剤師の役割:持参薬の管理、安全な化学療法、副作用対策、薬剤管理指導等
                                川嶌整形外科病院 薬剤科長 六鵜晶子
3.感染対策チームとしての実践(看護師):院内感染サーベイランス、院内感染のアウトブレイクに対する迅速な対応等
                                船橋整形外科病院 手術室主任看護師 持原美穂
4.医療安全向上を目的とするチーム医療(医療安全管理者):医療安全に関する教育・研修、再発防止策等
                                熊本機能病院 医療安全管理室室長 櫻間博文

 それぞれの病院の職員たちは忙しい中で、医療安全に対して、真剣に取り組んでいる様子が伺えました。私は、手術室では、日ごろの環境整備、機器の整備、洗浄滅菌、手術準備、患者入室から麻酔開始、手術開始、終了まで手順に沿って、確実に業務を行うことの重要性について、また医療安全への配慮と知識・技術の習得を「職人気質」として意識して欲しいということを話させていただきました。
 帰りは、羽田の国際ターミナルへ立ち寄り、社会勉強もしてきました。
 有意義な研修会でした。

 副院長 佐藤根 敏彦

ミヤンマーでの医療活動

 平成23年2月5日から10日までの1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 これで3回目の参加なので、今回はワッチェ病院から自動車で40分くらい離れた、マンダレー市内のレストハウスから通うことにしました。レストハウスといえども、エアコン、温水シャワー、朝食(卵料理、パン、コーヒー)が付いて、しかも宿泊料は6米ドルと大変安く、往復のタクシー代35米ドルを含めても、1日50米ドルでマンダレービール付きのミヤンマー料理で夕食をとることができました。
 昨年の2月に訪れた時と異なり、朝夕は少し寒く上着が必要なくらいでした。しかしこの時期は乾季で雨も少なくベストシーズンとされ、欧米から多くの観光客が訪れており、日本人も数人見ることができました。レストハウスなどを利用すれば、当地での生活費はかなり安く抑えることができるとのことです。
 ワッチェ病院での整形外科関連手術は、相変わらず重度の熱傷瘢痕拘縮が多く、部位は手指、頚部から胸部、足指などに認められていました。前回お願いしていた木製の手の外科手術台が作られており、日本で手の外科手術器具を少し買い求めてきましたので、以前よりあまりストレスを感じることなく手術することができました。また手術室のミヤンマー人看護師の器械出し技術がかなり向上しており、日頃の努力が実を結びつつあると感じました。しかし縫合材料などは日本からの寄付に頼っているため、徐々に不足しているようで、無駄にならないように手術をしなければなりません。
 ワッチェ病院で働いている若いジャパンハート医師や看護師はすべてボランティアで、ここにいる1-2年間は全くの無報酬です。ミヤンマーの人々の治療を通じて、自分たちの医療技術や知識を学ばさせていただいているとの考えからでしょうか。これからも1年に2-3回はミヤンマーを訪れるつもりですが、ミヤンマーの子供たちに会うことも、そして若い医師・看護師と一緒に仕事をすることも楽しみにしています。

 

副院長 中原 慶亮

                  

カンボジアでの医療活動

 平成22年10月13日から19日の1週間、NPOジャパンハートが行っているカンボジアでの海外医療活動に、ボランティアとして参加してきました。
 カンボジアを訪れるのは初めてで、10月はそろそろ雨期が終わる頃とガイドブックに書いてありましたが、一陣の強い風が吹いた後から急に空が暗くなり、スコールのような強い雨が長い時は半日以上も降りました。さすがに晴れ間の日照りは強く蒸すような暑さでしたが、早朝は少し冷え込み長袖が必要なくらいでした。気候が目まぐるしく変わり、体調の維持に注意が必要でした。
 医療活動は、プノンペン市から約60㎞離れた農村にある国立病院の約25床を借りて行われていました。初日の午前は、あらかじめ手術が必要とされた患者が多数外来に集まり、この中からさらに適応を検討し手術予定を組んでいく作業を行いました。治療費が無料ということもあり、飛び入りの患者も多くあり、今回の手術ミッションで消化しきれず、12月にまで持ち越した症例も多数ありました。
 手術は朝の8時から夕方の5時ころまで、1日約8件を4人の医師が交代で行いました。麻酔は局所麻酔かケタラールが主でしたが、必要な時には資格を有する看護師による全身麻酔下で手術ができました。ミヤンマーと異なり手術が深夜にまで及ぶことが少なく(1日のみ深夜の12時までかかりましたが)、還暦の私にとっては体力の消耗が少なくすみました。ただし整形外科関係の手術器械は最小限しかなく、空気止血帯も血圧計を利用して行わなければならず、工夫しながら手術を行うか、日本から持参するしかないようです。
 手術対象疾患の約90%がケロイド、腫瘍、手指先天異常など外見上の異常を占め、外傷や外傷後の障害、骨・関節・末梢神経疾患などの整形外科疾患がほとんどないことに驚きを感じました。カンボジアでは、今後経済の発展とともに交通事故や労働災害事故が増加すると考えられますので、整形外科的治療がますます必要になってくると思います。
 また、ポルポト政権下で行われた150万人の大虐殺で、この国の保健医療施設のほとんどが閉鎖し、国内に生存する医師はわずか43名となってしまったそうです。保健医療行政の改革は、1996年つまりたった15年前から始まったにすぎず、医師などの絶対数はまだまだ足りず、整形外科専門医などはほんの数人しかいないとのことでした。もしカンボジアの若い医師と一緒に手術などを行う機会があれば、技術の移転を含めた医療活動も積極的に行いたいと考えています。


副院長 中原 慶亮

       

国際整形災害外科学会(SICOT)への参加

 2010年8月31日から9月3日まで、スウェーデンのイェテボリで開催された国際整形災害外科学会(SICOT)に澤田整形外科部長とともに参加してきました。この学会に参加するのは3年ぶりでした(前回は2007年のモロッコ)が、会場、運営ともすばらしく、やはり世界中の整形外科医が集まる最大級の学会のひとつと実感しました。学会場はスウェディッシュエキシビションアンドコングレスセンターで、口演会場が6ヶ所とポスター会場、メーカー展示会場がバランスよく配置されていました。自分は頚椎内視鏡手術に関するポスター発表を行いましたが、欧米ではポピュラーではなく人工椎間板のほうに目が向いているように感じました。口演は主に脊椎の発表を聴きましたが、疫学、基礎、臨床の多岐にわたり、内容もしっかりした発表が多いように感じました。自由時間はイェテボリ市内の観光と美術館めぐりで過ごしました。国立美術館は印象派から近代スウェーデン美術まで充実した展示でした。運河とイェータ側のボートクルーズもなかなか楽しい時間でした。
 夜はせっかくの北欧ですので、北海方面で獲れるシーフードをメインとするレストラン2ヶ所に行きました。どちらもミシュランの星を獲得しているだけあり、ワインも含めすばらしいディナーでしたが、コースが終わるまでの4時間は、日本人にとってはちょっと長すぎと感じました。北欧の人はよく我慢するなと感心しました。イェテボリはスウェーデン第2の都市で、人口は50万人ほどの静かで美しい街でした。今回、院長のご厚情により海外での国際学会に出席できました。また中原副院長、佐藤根副院長、伊藤名誉院長、坂巻麻酔科部長、八重垣医師には留守中、ずいぶんご迷惑をかけたと思います。この場を借りて、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

診療部長 中野 恵介

                       

         学会場正面で澤田先生と                    高台から見たイェテボリ市街

               

          ポスター会場にて                      メーカー展示会場での澤田先生

「第23回 日本臨床整形外科学会学術集会」

平成22年7月18日、19日にパシフィコ横浜にて、
「第23回 日本臨床整形外科学会学術集会」が開催され、当院から4題の演題の発表がありました。

「腰部脊柱管狭窄症と頻尿」
◎中野恵介、川岸利光、中原慶亮、澤田利匡、林慶充

「頚椎症性神経症に対する内視鏡下頚椎椎間孔拡大術の短期成績」
◎澤田利匡、中野恵介、林慶充、中原慶亮、川岸利光

「頭頚部不定愁訴に対するK点ブロックの検証」
◎林慶充、川岸利光、中原慶亮、中野恵介、澤田利匡

「脊椎術後患者の安全な飲水対策」
◎長守加代子、田中美智子、田中美佳子、伊藤祐輔、 佐藤根敏彦、川岸利光

                       

         中野恵介 医師                         澤田利匡 医師

               

          ディスカッション風景                      パシフィコ横浜

各演題について、活発な意見交換がされました。
横浜の夏は暑かったですが、意見交換も熱く燃え上がり、お互いに切磋琢磨することができた素晴らしい学会でした。

再びミヤンマーでの医療活動

 平成22年6月18日から24日の1週間、NPOジャパンハートが行っている ミヤンマーでの海外医療活動に、ボランティアとして再び参加してきました。
 ミヤンマーの6月は雨期で、高温多湿の気候であることを覚悟して訪れたのですが、日中は35℃前後の肌を刺すようなきつい日差しで、雨はそれほど多く降りませんでした。そして早朝や夕方は風が涼しく、夜は扇風機だけで熟睡することができました。しかし4月は40°以上の猛暑のため10数人の熱中症死がでたとのことで、4月から5月は避けた方がよいと思われました。
 この暑い中、遠方から徒歩などで治療を受けに来られる方々を見るにつけ、またこの国の人々の人懐っこい笑顔に会うたび、いつも医師としてできる限りのことをしていきたいと思うようになりました。手術は1日約12件を3名の医師で行い、午前9時30分から開始して、終わるのは午後11時過ぎになることもありました。麻酔は、子供から大人まで主としてケタラールと局所麻酔で行うため、術中痛みのため動くことがあり、かなりストレスを感じました。全ての手術を終えた後、1日のカンファレンスを行い、遅い夕食を摂って就眠できるのは12時を過ぎるため、睡眠不足と疲労で身体が徐々に重くなっていくのを感じました。
 整形外科医としては、主に熱傷瘢痕拘縮の手術を行ってきました。当地ではまだ「かまど」でお湯を沸かしたり料理をしたりするため、熱湯や油での熱傷が多いようです。熱傷を起こすと、手指なら屈曲したままバナナの葉でくるんで縛るため、多指に及ぶ強い熱傷瘢痕拘縮が生じてしまいます。さらに受傷後数年たってから受診するため、屈曲拘縮は皮膚のみでなく関節にまで及び、指神経の伸展の制限もあり、拘縮の改善には限界がありました。しかしこの国の人々にもできるだけ日本と同じレベルの治療を行いたいと考えており、次回は簡単な骨・関節の手術ができる手術機械を、日本から準備していきたいと思います。
 今後は熱傷瘢痕拘縮だけでなく、なるべく外来に赴いて整形外科疾患の診察に参加し、手術が必要な疾患の診断に努めたいと考えています。
 11月にはカンボジアでの医療活動に参加する予定ですので、またご報告をさせていただきます。


 副院長 中原 慶亮

       





ミヤンマーでの海外医療活動


 平成22年2月20日から26日の1週間、NPOジャパンハートが行っているミヤンマーでの海外医療活動に参加してきました。
 ジャパンハートの「医療の届かないところに医療を届ける」という基本理念に基づくとともに、若い頃からの夢を追いかけることにもなりました。
 当地では主に熱傷瘢痕拘縮の手術を行ってきましたが、さらに整形外科専門医、手の外科専門医としてできる限りの活動をしていきたいと思います。 今後も引き続き、年に2~3回程度ミヤンマーやカンボジアでの医療活動に参加する予定です。

 副院長 中原 慶亮

ミャンマーでの海外医療活動